■カフェサロン「日本の神道文化にまなぶ“神さまのいる暮らし”」報告
「神さまのいる暮らし」サロンは、17人という大人数のサロンになりました。
話題提供者の平井さんは、最初に、基礎知識編として、神様の話から始めました。
神道、というよりも、神(儒教からの言葉だそうです)以前の「ヒ・チ・タマ・モノ」といった、やまとことばから捉えるカミの話や、罪穢れや禊祓いなどの「かんながらの道」の話で、すなおに心にはいるお話でした。
つづいて、そうしたことが日常生活のなかにしっかりと組み込まれていて、私たちの日常は、まさに神さまとともにあるのだという話をとても具体的に話してくれました。
たとえばこんなことです。
朝目覚めて、身体を動かすことで、身のうちの魂(たま)が振られて(たまふり)、清浄な状態になる。
つまり、誰もが毎日、魂を清浄にすることから1日をはじめているのです。
そして朝食では、食べ物(給べ物)を賜り、掃除で自らの身と身の回りを祓い清め、働くことや遊ぶことでたまふりを重ね、そして夜には入浴で禊(みそぎ)をする。
私たちの日常は、まさに神様と共にあるわけです。
神様は神社だけにいるわけではないようです。
そう思っただけで、日常生活の捉え方が変わってくる。
起きている時だけではありません。
眠っている間に、魂が身体に留まってばかりいては、停滞による穢れ(気枯れ)が起きかねません。
それで寝ている時に、魂は外在魂に入れ替わってもらって、身体を遊離して、朝には元気になって戻ってくるのだそうです。
神様は年中無休の重労働なのです。
そして、平井さんの師匠で日本の神道文化研究会を主宰されている神道学者の三橋健さんの、「神を畏れて、人を恐れず」の言葉で、話をまとめてくださいました。
「神への畏れ」が、生きる力を与えてくれて、生きやすくなる。
ちなみに、平井さんは、数年前から毎日、神棚に手を合わせているそうですが、そのおかげで、平井さん自身も変わってきたそうです。
神様を信ずると、良いことがあるのです。
年に一回、神社でお願いするよりも、毎日の暮らしの中に神様を意識することのほうがご利益はあるようです。
話し合いでもいろんな話題が出ました。
最初に出たのが、「神教」ではなくどうして「神道(しんとう)」になったのか、という質問でした。
そこから宗教と信仰のような話が出て、一神教と多神教の話になりました。
いわゆる「宗教」と、そもそも呪的信仰から始まった神道とは、本来違うものでしょうが、その素朴な信仰がいまもなお近代生活の中に調和して存在しているのは、とても興味のあることです。
私は、それこそが日本文化の一番の特徴ではないかと思っています。
古事記の話や、天岩戸神話の話、そしてなぜかかぐや姫の話も出ました。
京都からわざわざ参加してくださった「記紀」の研究者だった高林さんは、天岩戸神話でなぜ岩戸が開かれたかの理由を話してくれました。
そこからアートや芸能、音の話も広がりました。
ちなみに平井さんの研究テーマは、「音」だそうですが、地鎮祭などで発せられる警蹕(けいひつ)の話も出ました。
神社などの神域には、そこに行くだけで心身が清められる気がするという話も出ました。
お神札(ふだ)は、まわりの邪気を吸い取る効果があるそうですが、自己浄化することはできないため、1年ごとに神社に戻し、新しいお神札に替えるわけですが、神様をよく知っている人によると働かせすぎだそうです。
1年も祀っていると神札は邪気を吸い込んで、力尽きてしまうので、長くて6か月、できれば3か月で、新しい神札にバトンタッチさせた方がいいそうです。
最近の社会は穢れが進んでいるため、そうなってしまったのでしょう。
私は、この話が一番面白かったです。
神様を働かせすぎては、それこそ罰が当たります。
最後は、「神さまとどう出会うか」という話で盛り上がりました。
生きにくさから抜け出せないという人の切実な質問から始まったのですが、私自身は、神様とは毎日出会っていることに気づくと元気が出るというメッセージを、今回は平井さんからもらった気がします。
ですから、会おうなどとは思わずに、ただただ「祈る」だけでいいのではないか。
邪気に満ちた世界で神様を頼る人が増えてしまうと、神様が過労死しかねません。
宝くじに当たりますようになどといって、神様頼みするのは我慢して、神様が元気でいられますようにと、神様のために自分に何ができるかを考えて、祈るのがいいと思っています。
今回も、実に多彩な方々が参加してくださいましたので、参加者みなさんの発言からも、たくさんの気づきをもらいました。
平井さんはじめ、参加されたみなさんに感謝します。
報告が遅れてすみませんでした。
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