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2018/06/24

■カフェサロン「柳兼子をご存知ですか?」報告

民藝運動を起こした柳宗悦の伴侶で、声楽家としても有名な柳兼子をテーマにしたサロンは、16人が参加しました。
話題提供者は、我孫子在住の海津にいなさん。
海津さんは30年ほど前に千葉県の我孫子に転居してきましたが、かつてそこに住んでいた白樺派の人たちの活動に関心を深め、今はどうやらすっかり柳兼子さんにほれ込んでしまっているようです。
数年前から、柳兼子を主人公にしたNHK朝ドラを実現したいと考えています。
今回のサロンも、そうした思いも会って、改めて柳兼子の魅力を多くの人に知ってもらうきっかけになればということで開催しました。

柳夫妻は、我孫子には7年ほど住んでいましたが、柳夫妻の縁で、当時の我孫子には白樺派の文人たちが集まってきていました。
柳宗悦は民藝運動の創始者として有名ですが、柳宗悦を支えたのは伴侶の兼子であり、また宗悦の思想を実践していたのは兼子であると言われています。
兼子は、本場のドイツでも聴衆を驚愕させたようで、「声楽の神様」とさえ言われ、85歳まで公式のリサイタルをつづけていたそうです。
柳兼子は、まさに今の日本において、見直される人だと海津さんは考えていますが、たぶん今回のサロンに参加した人はそういう思いを持ったのではないかと思います。
NHK朝ドラにするとしたら、こういうのがいいという提案も参加者から2つも出ました。

白樺派と言えば、文芸活動というイメージを持っている人も多いと思いますが、その底にある理想主義や人道主義を踏まえた社会活動の側面はなかなか伝わっていません。
柳宗悦の民藝活動も、生活文化のなかに「用の美」を見出すというような美術活動の側面に焦点が当てられ、声楽と言えば、これまた芸術活動と考えてしまいますが、白樺派にしろ民藝運動にしろ、そして柳兼子の声楽活動にしろ、もっと広い社会性を持ったものだったようです。
今回のサロンでは、海津さんはそういう広がりを意識しながら、さまざまな「テーマ」を示唆してくれました。
途中で、柳兼子の80歳を超えた時の歌声も聴かせてくれました。
その声の力に驚きました。
ただし、私がとりわけ興味を持ったのは、レオナルド・ダ・ヴィンチとのつながりです。

海津さんのもう一つのメッセージは、戦争に向かって全体主義化が進んでいた当時の時代状況のなかでの兼子や白樺派の人たちの動きです。
私たちが、いまそこから学ぶことはたくさんあります。
これもサロンでは少し話し合いがありました。

沖縄在住のジャーナリストでもある緒方さんや日本韓国・朝鮮関係史研究会のメンバーの方も3人参加してくれました。
沖縄や朝鮮とのつながりも柳夫妻の活動の本質を示唆してくれています。
ほかにも参加者からも興味ある話が紹介されました。
今回は柳兼子の入り口だけでしたが、たくさんのテーマがちりばめられていたような気がします。
海津さんのフットワークのいい調査と自由な想像力に裏付けられたとても面白い発表でした。

これを契機にして、海津さんに「柳兼子研究会(仮称)〕の立ち上げと柳兼子我孫子ツアーを企画してもらおうと思います。
関心のある方はご連絡ください。
また当日配布された、海津さんのレジメ「手賀沼湖畔で大発展した白樺派と柳兼子」をご希望の方はご連絡ください。
海津さんの了解を得て送らせてもらいます。

ところで、柳兼子を主人公にしたNHK朝ドラの実現に力を貸して下さる方がいたらぜひよろしくお願いします。
面白いものになることは、間違いありません。

Kaneko


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