■節子への挽歌3882:未完の作品
わが家には、節子の「未完の作品」があります。
未完の作品というよりも、正確には「未完の作品を思い出させるもの」ですが。
それは、リビングのまんなかにあるテーブルです。
わが家のリビングは、いろんな人が集まることも想定して、少し広めにつくりました。
たくさんの人も座れるように、小さな回転いすも用意しました。
問題はテーブルです。
テーブルは、自然の木材の大きなものを希望していました。
いろいろと探しましたが、節子のお気に入りのものは見つかりませんでした。
私の友人が、栃木の知り合いのところにいいのがあると教えてくれました。
一緒に行こうという話が出た頃に、節子にがんが発見されました。
テーブル探しどころではなくなり、とりあえず何もないと困るので、1万円の板を買ってきて、脚をつけてテーブルにしました。
節子の手づくりです。
実は、いまもって、それがわが家のリビングにあるのです。
ちょっとリビングには似合わないテーブルですので、お客様は違和感を持つでしょう。
家族もみんな違和感を持っていますが、誰もテーブルを変えようと言わなくなりました。
だからそこでちょっとしたミーティングをやった時に、きっと来た人は違和感を持つかもしれません。
もう少し見栄えのいいテーブルにしたらいいのにと思われているかもしれません。
でもまあ10年以上もそこにあると、私には何となく、これでもいいかと思い出しています。
それにしても、いかにも粗末なという感じのテーブルなのです。
小さな回転いす一つよりも安いテーブルなのですから。
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