■カフェサロン「安心して死を迎えられる生き方のために パート1」の報告
死という、誰もが避けがたい現実を、積極的に捉えた生き方を支える「社会的な仕組み」をテーマにした、2回にわたるサロンのパート1は、猛暑の中、15人の参加者がありました。
今回は、ホスピス勤務経験もある僧侶の中下さんが、これまでのさまざまな死の現場体験から感じていることや考えていることを、自らの人生にもつなげながら、ありのままに話してくれました。
中下さんの活動を見ていて、どうしてこんなにエネルギーがあるのだろうかと、いつも不思議に感じていたのですが、今回改めてお話をお聴きして、これまで中下さんが関わってきたたくさんの人たちの思いが、中下さんを動かしていることに気づかされました。
生きる力の源泉は、自分の心身の外からやってくるのかもしれません。
今回も、当日の朝まで中下さんは、西日本豪雨で被災した広島で活動されていたそうですが、悲惨な現場での「辛さ」とともに、たくさんの人たちから託された「ちから」が中下さんを動かしているのでしょう。
中下さんの心身には、どうもたくさんの人たちの思いが詰まっているようです。
それは、死者からだけではありません。
いま話題になっている大口病院の看護師による殺人事件にも少し言及してくれましたが、中下さんの祈りの対象は、すべての生きている者や社会そのもの、あるいは時代の流れなどにも向いているような気がしました。
だから「仕組み」が必要なのかもしれません。
なにやら抽象的なことを書いてしまいましたが、中下さんの話はとてもわかりやすく、とても具体的、実際的なお話でした。
たとえば、死に直面した時、人は何を想うのか、という問いかけしながら、中下さんは自分に残された印象的な言葉をいくつか紹介してくれました。
そして、「生まれてきてよかった」と最期に言える人生や生きる意味、あるいは、人間の幸せとは何かという問いかけをしてきてくれました。
中下さんが最初に示した1枚のグラフがあります。
人が死を迎える場所のグラフですが、日本では1970年代中ごろに、自宅で死を迎えるよりも医療機関で死を迎える人の割合が多くなりました。
このことの意味は極めて大きいでしょう。
そしてそれに伴って、死が次第にビジネスの対象になっていく。
ビジネスの対象になるにつれて、死の意味は大きく変わります。
そしてそれは必然的に生き方を変えていく。
なぜなら「死に方は生き方」の象徴だからです。
そうした風潮に、中下さんは違和感を持ち、これまでもさまざまな実践に取り組んできています。
しかし、それが必ずしも好意的に受け入れられたわけでもないでしょう。
だからこそもっと大きな「仕組み」の発想が必要だと考えだしているようです。
その仕組みの話はパート2で取り上げられる予定です。
今回は中下さんが体験してきたいろんなことを少しシェアさせてもらうことで、中下さんが考える「仕組み」への理解を深める準備サロンでしたが、今回のサロンでの中下さんの問題提起はそれだけでも参加者には自らの生き方を考えるたくさんの示唆があったように思います。
いつも思うのですが、サロンの報告は、私の主観的な報告になってしまい、サロンで話し合われた、大切なものが失われてしまうような気がしてしまっています。
話し合いの具体的な内容の報告がうまくできずに申し訳ありません。
いくつかの話題を項目だけ紹介しておきます。
ホスピスや病院や介護施設で働く人たち(死に寄り添い生を支援する人たち)への支援の仕組みがないことは中下さんから問題提起されました。
お盆や葬儀の価値やビジネス化の状況なども話題になりました。
インドの聖地バラナシで絶えることなくつづく火葬の場に子どもと一緒に行ってきたという女性の方から、死とは何か、という話題も出されました。
人称による死の捉え方の違いも話題になりました。
他にもいろいろとあったと思いますが、私は「死の持っている価値」を考えたいと話させてもらいました。
死を意識した時に、人は生き方を考えだします。
もしそうであれば、それだけでも「死」には大きな価値がある。
これに関しては、パート2でも話題になっていくと思います。
次回パート2は8月26日に開催します。
今回参加できなかった方も、もちろん歓迎です。
最近どうもサロンの報告がうまく書けません。
困ったものですが、お許しください。
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