■節子への挽歌3924:パンとサーカスのなかでは生きたくありませんが
節子
先日までの真夏のような暑さが一転して、今日は肌寒いほどです。
予定が変更になって、湯島に一人でいます。
手持無沙汰なので、持ち歩いていた本を読んでいました。
メアリー・ピアードの「ローマ帝国史」です。
なぜいまさら「ローマ史」なのかといえば、まさに今、私が生きている社会が、パンとサーカスのローマのように感じているからです。
先日のサッカーのワールドカップの報道を見ていると、つくづくそう思っていまいます。
スポーツ選手というか、昨今のアスリートたちは遣唐使のような存在にしか見えません。
それにうつつを抜かして、パブリックビューなどと騒いでいる人たちを見ると、もっと大切な問題から目をそらされないでよ、と言いたくもなります。
まあ、私が「偏屈」なだけかもしれません。
この本は3年前に書かれ、日本での翻訳出版は先月です。
これまでのものとちょっと違った取り組み方の本だというので読もうと思っていましたが、持ち歩くだけでなかなか読む気になっていなかったのです。
確かに、視点がちょっと違います。
キケロとカティリナの政争から始まります。
100ページほど読んで、飽きてしまいました。
どうもピンとこない。
イタリアには1度行きましたが、節子とは一緒ではありませんでした。
節子は私とは別に一度言っていますが、節子のほうがいい旅をしています。
私は仕事の関係で行った時に、ローマとミラノに寄っただけです。
それもそれぞれ1日ずつくらいでした。
いつかゆっくりと節子と一緒にローマには行きたいと思っていましたが、ついに実現しませんでした。
たぶん私自身ももうイタリアには行くことはないでしょう。
いや海外にはもう行かないでしょう。
旅をするモティベーションが全く起こってこないのです。
ですから書物の上でしか、ローマには行けないわけです。
でもまあ最近は、日本もローマのようになってきました。
みんなパンとサーカスを求めて饗宴に明け暮れている。
その一方で、貧困はどんどん広がっている。
そのいずれにもつながっている両生類的な生の中にいる私としては、双方からの「いいとこ」どりをしている気もしますが、しかしどこかでやはり悲しさとむなしさから抜け出られません。
困ったものです。
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