■節子への挽歌4040:1冊の本に引き込まれてしまっています
節子
最近、ちょっとまた1冊の本に引きずり込まれています。
身心の疲れはそれが原因かもしれません。
その本は、岡和田晃さんという人の書いた「反ヘイト・反新自由主義の批評精神」という文芸批評の本です。
もう1週間ほど、時間の合間に読んでいますが、いつもの本のように読み進めなく、苦闘しています。
正直、ほとんど理解できないのですが、そこに何か自分が遠ざけてきた世界を感ずるのです。
今朝、5時頃目が覚めて、どうにも気になりだして、読み始めてしまいました。
やはりなかなか理解できない。
それもそのはずで、この本は文芸作品の書評を軸に書かれているのです。
その対象になっている本を読んでいないのですから、わかるはずもない。
しかし、そこから伝わってくる著者の気持に魅かれるのです。
なぜかわかりませんが、とても大切なメッセージさえ感じます。
著者の岡和田さんはまだ40歳に達していない、私から見れば若者です。
彼とは一度だけ会いました。
湯島で、アナログゲームの体験会をやった時に、彼がゲームマスターをやってくれたのです。
そしてその後、「アイヌ民族否定論に抗する」という自著を送ってきてくれました。
この本はとても面白く、ぜひほかの人にも紹介したくて、ホームページにも紹介文を書こうと思っていたのですが、その直後、時々起こる「時間破産」と「厭世観」におそわれて、まだ書けていません。
その負い目もあって、多分最近の私は絶対に手を取らない本書を読む気になったのです。
読みだして、これはやはり私の読む本ではないと思ったのですが、その一方で、不思議な引力に引き込まれるように、ぱらぱらと読みだして、まさに虜になってしまったわけです。
そして自分の考え違いにも気づかされたのです。
「批評精神」を維持することの難しさと、しかしそれに取り組んでいる人がこんなにもいるのかということにも気づかされました。
新聞などの批評欄は退屈で、最近は読む気にさえならないのですが、そうした商業主義ではない世界は今もあることも気づかせてもらいました。
いや一番の反省は、文学の捉え方で、この30年、創作された小説や文芸を読んでこなかったことです。
あまり理解できないまま、時々、短い詩的に共感しながら、1週間かかって、ようやく300頁を読み終え、残すは第2部の100頁です。
もっともここは、本書のなかでも私には一番遠い世界なので、読み進めるのは難しいかもしれません。
こんなに読みつかれたのは、久しぶりです。
少なくとも、この10年はありませんでした。
今回岡和田さんの本に魅かれているのは、彼の生命の躍動感が伝わってくるからです。
私が行けなかった世界を、彼は生き生きと楽しんでいる
残りは100頁ですが、もう1週間くらいはかかりそうです。
ほんとはもう手放したいのですが、なぜかこの本は最後まで読まなければいけない気がしています。
ほとんど理解できないのに、どうしてこうも惹かれるのでしょうか。
きっとそこに何か、とても大切なものがあるのでしょう。
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