« ■「昭和の人」 | トップページ | ■なぜ交番にいる警察官は拳銃を所持しているのか »

2018/09/20

■「子どもNPO白書2018」を読ませてもらいました

湯島に事務局を置いている日本子どもNPOセンターが、2号目になる「子どもNPO白書2018」を出版しました。
ざっとですが、通読させてもらいました。
創刊号に劣らず内容が充実しているので、この活動も軌道に乗ってきたことがわかります。
子ども関係のNPOはとても多く、その全体像はなかなか見えてきませんが、こうした白書の継続的な発刊を通して、さまざまな分野の活動がゆるやかにつながっていくことが期待されます。

第1号と同じく、白書は大きく「理論編と「実践編」に別れています。
理論編では、創刊号発刊後3年間の間に起こった、大きな変化について解説されています。
まずは法的環境の変化について、NPO法、児童福祉法、教育基本法の改正とその問題点が解説されています。
市民活動の視点から、改正の方向性に関する批判的な指摘もしっかりと行われています。
市民、それも実践者中心の手による白書であることの強みと言っていいでしょう。

NPO活動は、法的環境に大きく影響されますが、改正の動きを所与のものとして受動的に捉えるのではなく、むしろ法的環境を能動的に変えていくことがNPOの大きな使命です。
個々のNPOとしては、なかなかそうした使命は果たせませんが、そう言う意味でも、こうした白書づくりの意味は大きいでしょう。
子ども関係のNPOをつないでいく子どもNPOセンターの最大の役割はそこにあるように思います。
個々のNPOはどうしても目先の問題の対応に追われがちですが、ゆるやかにつながっていくことで、子どもの視点からの法的環境の整備にも関わっていくことができるはずです。

理論編では、法的環境と並んで社会環境の変化も取り上げられています。
自然環境、平和活動、SNSに代表される情報環境、さらには子どもの貧困への具体的な実践として広がりだしている子ども食堂などの動きなどが、多角的に語られています。

実践編は、第1号と同じく、領域別に具体的な活動事例や実践者の論考が展開されています。
いずれも実践を踏まえたものなので、説得力を感じます。
事例は、北海道から九州まで全国にわたっています。
第1号よりも、執筆者の顔ぶれが広がっているのも、うれしい前進です。
なお、資料編として、関係法や条文なども掲載されています。

日本子どもNPOセンター代表の小木さんは、「刊行によせて」で、今回も第1号で掲げた編集方針を大事にしたと書いています。
それは、「全国の子どもNPO活動の全体像が鳥撤できること」と「全国に点在する子どもNPOにヒントを投げかける理論と実践を紹介すること」の2つです。
この「白書」活動を継続していくことこそ、いま必要なことと確信している小木さんの思いは、着実に深まり広がっているようです。

読み物としても、資料としても、密度の高い、しかしとても読みやすい白書ですので、子ども関係のNPOに関わる人はもちろんですが、多くの人に読んでほしい白書です。
NPOのネットワークがつくる白書の継続刊行は、めずらしい活動ですが、個々の問題に取り組むとともに、そうした活動が横につながって、社会への情報発信をしていく活動こそが、市民社会を育てていくのではないかと思っている私としては、応援していきたい活動です。
ぜひとも多くの人に知ってもらい、この白書活動をさらに広げていければと思います。

ただ、そのためにもいくつかの課題はあるように思います。
私は第1号の紹介に際して、白書の内容として、2つの要望を書かせてもらいました。
ひとつは、「領域を超えた実践者たちが、今の子どもたちや社会をどう考えているかを話し合うような座談会」。
もうひとつは、「子どもにとっての活動の場である社会を、子どもたちはどう見ているのかという子どもたちの声」。
今回も残念ながらそうしたものはかなえられませんでしたが、第2号を読んでもう一つ感じたことがあります。
それは、小木さんが意図されているように、子どもたちの世界や子どもNPO活動の世界が鳥瞰できるように、この白書を図解化できないだろうかということです。
図解化することで、見えてくることも多いですが、それ以上に図解化することで、子どもNPO活動に降り汲んでいない人たちの理解は進むでしょう。
創刊号も含めた2冊の白書を材料にして、子ども世界の動向を鳥瞰図的に図解化するワークショップや研究会などができれば、きっと子供世界がもっと見えてくるような気がします。

これだけの白書をつくることに、関係者のみなさんがどれほどの苦労をされたかが少しはわかる者として、こうした要望を表明するのは、いささかの躊躇はありますが、逆にこれだけの苦労をさらに効果的なメッセージにしていくためにも、第3号にはそうした企画をぜひ入れていただきたいと思います。

せっかくできた白書ですので、ぜひこれを活用したフォーラムや集まりを、領域を超えて展開していっていただきたいとも思います。

ぜひ多くの人に読んでいただきたい白書です。
できれば一度、湯島でもこの白書を材料にサロンを企画したいと思います。
子どもの世界を見れば、これからの日本が見えてきますので。

|

« ■「昭和の人」 | トップページ | ■なぜ交番にいる警察官は拳銃を所持しているのか »

NPO時評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30899/67187193

この記事へのトラックバック一覧です: ■「子どもNPO白書2018」を読ませてもらいました:

« ■「昭和の人」 | トップページ | ■なぜ交番にいる警察官は拳銃を所持しているのか »