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2018/10/22

■カフェサロン「『子どもNPO白書2018』を刊行して」報告

日本子どもNPOセンターが出版した「子どもNPO白書2018」をテーマに、執筆者の交流会もかねてのサロンを開催しました。
白書に関しては、既に紹介させてもらいました。
http://cws.c.ooco.jp/books.htm#180923

今回は、白書の編集代表でもある日本子どもNPOセンター理事長の小木さんが名古屋から参加、大坂からも日本こども未来研究所所長の川野さんも参加してくれました。
日本子どもNPOセンターのメンバーでない人も数名参加し、総勢15人ほどになりました。
社会保障を専門にされている本間先生も参加してくれました。
東京新聞の飯田さんも取材に来てくれました。
編集委員の金さんは子連れ参加で、場の雰囲気も変わりました。
異分野の人ができるだけ接点を持つというのが湯島の精神ですので、うれしいことです。

私も白書は読ませてもらいましたが、さまざまなところでさまざまな活動が行われているのがよくわかります。
子どもたちは、大人と同じように、さまざまな問題の絡み合いの中で生きています。
子どもが生きているのは、決して「子どもの世界」ではありません。
無防備な子どもたちこそ、社会全体の縮図を体現しながら生きている面がある。
ですから、子どもの世界からは大人たちの社会の実相がよく見えてきます。
子どもの世界に現れている問題は、実は大人の問題の写し絵でもあり、そこから私たち大人の生き方が鋭く問われているわけです。

同時に、子どもの世界だけを見ていると見えなくなってしまうことも少なくありません。
今回の白書では、子どもたちを取り巻く法的環境の変化がていねいに解説されています。
それは、子どもたちにとっては逆風の流れのように思いますが、その流れに抗うためにも、あるいは新しい流れを創りだしていくためにも、さまざまな現場の人たちが横につながっていくとともに、実践者と研究者とのつながりがますます大切になってきています。
これだけさまざまな現場で実践している人たちがつながって、研究者と一緒になって動き出せば、法的環境を能動的に変えていけるように思います。
いやそれこそがNPOの大きな使命ではないかと改めて思いました。
この白書の継続的な出版活動は、そうしたつながりを育てる場にもなっていくでしょう。
実践者たちの交流や問題をシェアしあう場が、もっともっと必要だと話し合いを聞いていて感じました。

もう一つ感じたのは、白書もそうなのですが、総じて「大人の視点」で語られていることです。
もっと子供たちが主役として登場してほしい。
子どもたちを語るのではなく、子どもたちの思いを聞きたい。
私は障害のある人や高齢者の問題にもささやかに関わらせてもらっていますが、当事者とそれを支援する人の見ている世界はかなり違うのが、いつも気になっています。
そもそも支援するという一方向的な活動ではなく、お互いに学び合っていくことが必要ですが、子どもから学ぶことは山のようにあるはずです。
子どもたちは何を困っているのか、そうしたことをもっと聞きたかった気がします。

話し合いではいくつかの話題が出ました。
たとえば、福祉と教育の関係、あるいはNPOと行政の関係。
また「地域施設」という領域の立て方の是非も議論されました。
いずれも湯島のサロンで時々話題になるテーマですが、子どもの視点で、そうした課題を話し合うことは大切です。

もう一つの大きな課題は、この白書をどうやって社会に広げていくか、言い換えればたくさんの人たちに購入してもらうか、です。
読んでもらって何かの行動につながっていくことが白書の目的です。
どうしたら広げられるかについても、いろんな意見が出されました。
みなさんも、もしよかったら購入して読んでみてください。
そしてできればまわりの人たちに紹介していただければ嬉しいです。
湯島でも購入できるようになりましたので、読んでみようという方がいたら、湯島に来た時に声をかけてください。

せっかくの機会なので、私もいくつか提案させてもらいました。
たとえば「子どもNPOラウンドテーブル会議の発足」です。
執筆者である、領域を超えたたくさんの実践者や研究者たちが、子どもたちが置かれている現状の問題を可視化し、公開フォーラムのスタイルで、ぜひ社会に発信していってほしいと思います。
そして、さまざまな立場の人を巻き込んで、時には子どもたちも巻き込みながら、全国各地で定期的に公開のラウンドテーブル会議を展開し、問題を解決していく実践につなげていく。
それは同時に、大人や高齢者も含めて、みんなが住みやすい社会になることにつながっていくでしょう。
子ども世界は大人の社会の写し絵なのですから。

子どもたちの直接の声を社会にしっかりと伝えていく活動も必要です。
NPO活動の一つの落とし穴は、問題の当事者と問題解決を支援するNPO関係者との思いが「ずれていくこと」です。
問題を観察者的あるいは支援者的に捉えるのではなく、当事者(この場合は子どもたちですが)と一緒に活動していく。
白書でもそうした事例はいくつか紹介されていますし、最近そうした活動も増えていますが、子どもたちがいまの社会を、あるいは今の大人たちの生き方を、どう見ているのかは、必ずしも社会に発信されていないように思います。
子どもたちが見ている社会の姿を、私たちはもっと学ばなければいけません。
これは子どもに限りません。
高齢者も障害のある人たちにも、すべてに言えることです。

日本子どもNPOセンターの「白書活動」の価値を、改めて実感したサロンでした。
書店や図書館に注文したりして、ぜひみなさんも、この白書の存在を広げていってください。
子どもたちの育ち方が、私たちの未来を方向づけていくのですから。

報告というよりも、思いを書きすぎてしまいました。
すみません。
引き続き、具体的なテーマについてのサロンもやってみたい気がします。
どなたか問題提起したい方がいたらご連絡ください。


Kodomo181021


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