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2018/12/04

■コムケアサロン「家族の介護・相続に向き合う」報告

高齢社会の中で、私たちはもっと高齢期に起こりうるさまざまな問題にしっかりと向き合っていくようにしないといけません。
子育てへの関心は高まっていますが、高齢期の生活に対しては、老後の蓄え意識はあるものの具体的な課題に関する準備に取り組んでいる人はあまりいないような気もします。
そもそも問題が顕在化するまでは、問題さえ見えていない人も少なくありません。
老後の蓄えも、多くの人はお金で考えていますが、お金にできることには限界があります。
むしろ大切なのは、お金ではなく、たとえば人のつながりだったり、健康だったり、趣味や仕事(対価を得る仕事という意味ではありません)ではないかと思います。
問題が起こってからお金を使うと考えている人が多いですが、お金はむしろ問題を起こさないためにこそ使うべきです。
それにお金は、たとえば遺産相続に見るように、生活を乱す不幸を引き起こすことさえ、あります。

以上は私の私見ですが、こうした視点で地道な活動に取り組んでいる千葉晃一さん(一般社団法人コレカラ・サポート代表理事)に、高齢者を取り巻く様々な問題やそれを支援するさまざまな社会資源を紹介していただき、高齢者が生きやすい社会に向けてのヒントをたくさんいただいたサロンでした。
千葉さんは、高齢者の抱える問題の相談に乗る活動をしながら、一緒に問題解決に当たる仲間を増やそうとコーピング講座を広げていますが、お会いするたびに、千葉さんの考えや活動が進化しているのを感じます。
それは机上論ではなく、千葉さんが現場での実践を、問題に直面している当事者と伴走しながら考えているからでしょう。
高齢者の問題は、それぞれに人によって全く違いますので、理屈では対応できません。

冒頭にとても示唆に富む話がありました。
迷惑をかけたくないという相談者に対して、それは自分の視点であって、迷惑かどうかは相手が決めることではないかと千葉さんはお話しすることがあるそうです。
とても共感できます。
その一言に、私は千葉さんの相談の基本姿勢が象徴されているように感じました。
千葉さんが取り組んでいるコーピングとは「課題に向き合うこと」ですが、誰の視点で課題を捉えるかで全く違ってきます。

高齢者の生活の問題を千葉さんは5つに分けて捉えています。
経済的問題、健康の問題、住まいの問題、人間関係の希薄、そして生きがいの問題です。
コレカラ・サポートでは、こうした5つの面を踏まえて、高齢者と伴走しながら支援しています。
大切なのは、それぞれの問題を各論的に捉えるのではなく、全体をつなげながら捉えていくことです。
しかし、ひとりの人間ですべてに対応することは難しい。
それでそれぞれに得意な人たちのゆるやかなネットワークを活かしながら、伴走支援をしているのですが、そのためにはある特別の問題に詳しいだけではなく、5つの問題を含む全体がある程度見えていることが大切です。
そして問題に応じて、その人に一番ふさわしい相談相手を見つけていくという、コーディネーター的な役割を果たせる人を増やしてくことが、千葉さんの望んでいることです。
場合によっては、問題を抱えている人が、自分の体験を誰かの問題解決のために活かしていくことができれば、まさに「支え合う社会」へと近づきます。

こう考えていくと、千葉さんたちが目指しているのは「信頼できる人のつながり」を育てていくことと言えるでしょう。
これはまさにコムケア活動や湯島のサロン活動の理念でもあります。

千葉さんは、もうひとつ、すでにある様々な社会資源や社会制度を活用するためにも、そうした知識を身に着けておくことが大切だといいます。
問題が発生してからでは遅いので、日ごろからアンテナを張っておくこと、あるいはそうしたことをよく知っている人とのつながりをつくっておくことが大切だというわけです。

こういう話をしてもらった後、参加者での話し合いが始まりました。
今回とてもよかったと私が思ったのは、ある特定の人の具体的な問題が開示されたのを契機に、千葉さんだけでなく、参加者みんながその人の問題を一緒に考えアドバイスし合ったことです。
いつかまたその人から報告があるかもしれません。

高齢社会は、みんなが支え合う社会ではないかと私は考えていて、25年ほど前に「早く来い来い、高齢社会」という小論をいくつかの研究所の機関誌に掲載したことがあります。
みんながコーピングの力をつけていけば、社会はとても住みやすくなる。
今回のサロンで、改めてそう思いました。

なお千葉さんたちがやっているコーピング講座については千葉さんにお問い合わせください。
また今回のサロンの話は、改めて映像記録を制作することも考えていますので、またもし制作できたらご案内させてもらいます。


Coping181202


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