■湯島サロン「見えない世界を感じながら生きている人が構想する地上の楽園」報告
異文化次元交流カフェ主催者の内藤さんが構想する「地上の楽園」をテーマにしたサロンは申し込みが多くて、参加募集を締め切るほどでしたが、当日は、目に見えない自然の摂理が働いたのか、20名以内に収まり、おかげで私もきちんと話を聴けるサロンになりました。
案内でも書きましたが、内藤さんが目指す「地上の楽園」は次の3つが実現されることです。
* 人種を問わず、安心して笑い合い、交流できる。
* 人間の本質である「創造性」が発揮できる。
* 人間としての尊厳が保たれている、正当に評価される。
その実現に向けて、内藤さんはいま、埼玉県の寄居の“エルモット”を拠点に活動しています。
詳しく知りたい方は、内藤さんのホームページをご覧ください。
http://ermot.jp
内藤さんはまず、「地上の楽園」構想と今それがどういうところまで来ているか、そしてこれからどう展開しようとしているかを、自分のこれまでの活動も含めて話してくれました。
地上の楽園は、「場所」であるとともに「人が創り出すコミュニティ」です。
そこに集まる人たちは、「世界と自分が一体であることが感じられ、あらゆるものに生命が満ちていて、すべてのものごとに意義が感じられる状態」であることが望まれます。
そしてそうなるためには、エゴの殻で自分をまもって生きている状態から、エゴを手放し、自分らしくのびやかに生きている状態へと自己を変えていかなくてはいけない。
内藤さんは、それを自らの精神を成熟させるという言い方をしました。
「地上の楽園」は、成熟した精神の人たちだけのコミュニティではありません。
そこに暮らすことで、精神が成熟していくようなコミュニティでもあります。
精神の成熟に向けて、自らの中にある「精神の可能性」を「発芽」させるための要素は、日本の伝統文化の中に豊富に含まれていると内藤さんは考えています。
そこで「地上の楽園」の実現のためには「和文化体験」を重視しています。
武芸・工芸・文芸だけではなく、日常の生き方に残っている和文化のなかにも、精神を発芽させる要素がたくさんあると内藤さんは考えています。
“エルモット”にはさまざまな国からお客様がありますが、彼らと接して、内藤さんはそういう思いを強めているようです。
さらに、“エルモット”では、精神の成熟を補完するものとして、ヒーリングや各種講座も用意されています。
“エルモット”の場所は、埼玉県の寄居ですが、ここは数年前に内藤さんが訪れて、「ここだ!」と感じたところだそうです。
私も何回か行きましたが、たしかに気を感ずるところです。
“エルモット”を拠点に、内藤さんはすでにさまざまなプログラムを展開中ですが、いまはまだ個人活動にとどまっているためなかなか広がりが出てきません。
この構想をもう一歩前進させるために、独立自由な人たちがゆるくつながり、精神の成熟を高め合う、そんなコミュニティが、いま内藤さんが目指している課題のようです。
この構想に共感した人たちが集まりだして、それぞれが自らのやりたいことを実現するプラットフォームが生まれれば、構想は実現に向かいだすでしょう。
お話を聴いた後、話し合いが始まりました。
もう構想ができているのだからどんどん進めればいいという意見がある一方、構想が抽象的すぎてわかりにくいのでもう少しテーマや方向を絞ったらどうかという意見もありました。
今回、内藤さんは「見えないビジョン」をできるだけ言葉にし可視化するために、見える世界の言語や思考の枠組みを組み込んで話してくれましたが、それが却って混乱を起こすのではないかという指摘もありました。
たしかに見えない世界のビジョンを言葉で説明するのは難しいです。
言葉で説明するよりも、絵や書で伝えられないかという指摘もありました。
あるいは、踊りや歌のような「楽しさ」をもっと前面に出して、まずは人が集まりたくなる場を考えたらどうかという提案もありました。
みんなが幸せに暮らせるコミュニティづくりは、これまでもありましたし、いまもあります。
しかし内藤さんが目指しているのは、仲間内の楽園ではなく、開かれた楽園であり、世界(宇宙)に広がっている楽園です。
そこに難しさがあり、わかりにくさがあり、しかし魅力と新しさがあるように思います。
今回のサロンのいろんな意見が、内藤さんの構想実現に役立つといいのですが。
サロンをさせてもらって、1回の話だけではなかなか伝わらないと思いました。
それで改めて、寄居の“エルモット”で体験型サロンをやってみるのはどうかと思いました。
最後に私の感想を一言。
精神の成熟とか自己超越とかいうことは難しいですが、内藤さんが話した「自分らしくのびやかに」に生きることは、その気になれば誰にでもできることです。
そういう生き方をしている人が、寄居に3人集まったら、地上の楽園は育ちだすのではないかと思いました。
いや、その気になれば、それぞれの人が自らの周りに「地上の楽園」を創り出せるのではないか。
「地上の楽園」は、もしかしたらみんなのすぐそばにもうあるのかもしれません。
そんな気がしました。
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