■茶色の朝サロン「最近、ちょっと気になることから政治を考える」報告
BMSサロン(茶色の朝シリーズのサロン)を再開しましたが、女性3人、男性7人の参加でした。
男性の人数が多かったこともあって、なかなか生活視点での議論には向かいませんでした。
しかし、家族問題や夫婦関係の話が出て、世代間や男女間の生活感覚の違いが話題になったのは、これからの政治を考える上でも大きな示唆があったように思います。
サロンを始める前に、ニーメラーの後悔の言葉を読み上げさせてもらいました。
ご存知の方も多いと思いますが、引用させてもらいます
ナチスが共産主義者を襲ったとき、自分は少し不安であったが、自分は共産主義者ではなかったので、何も行動に出なかった。
次にナチスは社会主義者を攻撃した。
自分はさらに不安を感じたが、社会主義者ではなかったから何も行動に出なかった。
それからナチスは学校、新聞、ユダヤ人などをどんどん攻撃し、そのたび自分の不安は増したが、なおも行動に出ることはなかった。
それからナチスは教会を攻撃した。
自分は牧師であった。
そこで自分は行動に出たが、そのときはすでに手遅れだった。
最初の口火は、「不安」を感じているという男性の発言から始まりました。
その「不安」は、さまざまなことから起こり、またさまざまなものにつながっているようです。
その人は、息子との会話で、世代によって情報環境が大きく違っていて、そこから生ずる生き様の違いや政治感覚の違いに「不安」を感じているようです。
むかしと違って、どうしてみんなの考えがこんなに違ってきてしまっているのか。
対称的だったのが、女性から出された「まわりの奥様たちの不満」でした。
たとえば、経済的に夫に依存している(稼ぎが少ない)が故の夫への対抗力の弱さ。
それが、夫への「不満」、生活への「不満」につながっているようです。
経済的には男性優位の社会は、相変わらず続いているようですし、女性の考え方も意外に変わっていないのかもしれないと私は感じました。
「不安」と「不満」。
これが今回のキーワードだったように思います。
不安と不満は、似ているようで、発想の起点が真反対です。
不安は外部からやってきますが、不満は自分の中から生まれます。
不安は感ずるものですが、不満は抱くものです。
そして、不満は自らでも解決できますが、不安の解決は自らだけでは難しい。
いや自らではなかなか解決できないからこそ「不安」なのです。
最近の香港のデモは「不満」が原動力でしょう。
個人の不満が社会をかえるほどの動きを生み出し、政治を変えつつあるわけです。
日本の女性たちが抱いている「不満」とはだいぶ違います。
「不安」から考える政治と「不満」から考える政治。
もしかしたら、そこに男女の政治感覚の違いがあるのかもしれません。
「家政」という言葉があるように、家族(社会の基盤となる集団)の関係を豊かなものにしていくことも「政治」です。
古代ギリシアは、女性が家政を、男性が国政を守っていました。
両者は、深くつながっています。
国政の基本ともいうべき家政が乱れると国政も一挙に変わりかねません。
「不安」を表現した人は、舞台劇「朝のライラック」の話をしてくれました。
「イスラム国」に支配されたシリアの架空の村を舞台にした、政治によって家族が壊され、個人の人格が踏みにじられるような衝撃的な話です。
ところが、その人は20年ほど前にシリアに行ったことがあるそうですが、その頃のシリアはとても平和で、シリアの人たちは、とんでもなく善い人ばかりだったと言います。
それが、政治によって、あっという間ほどの短時間で今のように荒廃してしまう。
ある朝、起きたら世界が茶色になってしまっていたというのは、日本でも十分にありうる話だと言うのです。
不安を与える社会と不満が高まっている家族は、実は相似関係にあるようにも思います。
社会の荒廃は家庭を壊し、家庭の荒廃は社会を壊していく。
逆に、豊かな社会が家庭を豊かにし、豊かな家庭が社会を豊かにする。
私は、食の不安とか児童虐待とか消費税とか年金とか、そういう話が出てくるかと思っていましたが、そういう話はほとんど出てきませんでした。
出てきたのは、「大きな不安」と「目先の不満」でした。
しかし、ここにこそ、いまの日本の政治の本質が示唆されているのかもしれません。
私たち一人ひとりの生き方を正すことから政治を正していきたいと思っている私には、とても考えさせられるサロンでした。
ちなみに、話し合いでは、不満を持っている女性たちのエネルギーを、社会を変えていく力につなげていけないかという話もありました。
もしかしたら、そういう動きが始まるかもしれません。
次回もまた、気になることを出し合うサロンにしたいと思います。
今度はもう少し具体的な話を出し合えるような工夫をしてみたいと思います。
ともかく継続していければと思っています。
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