■権力は腐敗などしません
関西電力、全日本テコンドー協会などがマスコミをにぎわせています。
私には、いずれも「事件」ではなく「日常」「常態」にしか思えないので、そんな話を今さら大仰に取り上げたり、騒いだりしている世間のほうにこそ驚きを感じます。
そもそも報道関係者やその世界の人には周知のことでしょうし、関西電力に限らずすべての電力会社やテコンドー協会に限らずすべてのスポーツ団体に多かれ少なかれ存在していることはこの数年で明らかになってきているはずです。
などというと、反発されそうですので、個別問題への言及はやめて一般論を書きます。
『自由の歴史』を著したイギリスの歴史家ジョン・アクトンは、「権力は腐敗の傾向がある。絶対的権力は絶対的に腐敗する」と言いました。
いまでもよく「権力は腐敗する」という言葉はよく聞きます。
私は、この言葉にみんなだまされているように思っています。
権力は腐敗などせず、どんどん強固になっていきます。
権力は腐敗するのではなく、腐敗が権力を生み出すのです。
発想を変えなければいけません。
権力を持つと精神が堕落し、悪徳に抵抗を感じなくなるということが、権力は腐敗する意味だとされますが、これも逆だと言えば、もう少しわかりやすいと思います。
悪徳にマヒし、精神が堕落することから権力が生まれていくと考えればそう違和感はないでしょう。
話題になっている「事件」の関係者は、たぶん自らが腐敗しているなどとは思っていなかったでしょう。
悪徳にマヒし、精神は堕落、というよりも、失っていたのです。
だからどうして自分が責められているか理解できないでいるでしょう。
今回の関電事件は、そうしたことをとてもわかりやすく教えてくれます。
腐敗がなければ権力は生まれません。
ではなぜ腐敗が是認されるのか。
それは、人は腐敗に惹かれるからではないかと思います。
そして、多くの人は権力を望み、それが無理ならそのおこぼれに預かろうと思う。
「おこぼれ」は、多くの場合、割には合わないはずですが、罪悪感をあまり持たずに済むところで、人はだまされてしまう。
権力は腐敗しません。
腐敗はさらに強固になり増殖していく。
その汚染から身を守るのは権力に近づかないことかもしれません。
決して黄金の入った菓子箱などを欲しいなどと思わないことです。
しかし、うっかり受け取ってしまうことがあるのが現代です。
「贈与」の恐ろしさを、改めて考えなければいけません。
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