■大型台風襲来で考えたことの一部
大型台風が連続して関東に上陸しています。
とりわけ15号台風の被害は深刻で、今なお生活に苦労している被災者も少なくありません。
そこにさらに大型の19号台風。
千葉の教訓もあるのか、報道の対応も政府の対応も、そして国民の台風も大きく変化したような気がします。
そしてそうしたことに、国家のあり方を考える材料がたくさんあるように思います。
私は今回の台風に関しては、危惧と疑問を強く感じています。
一番残念だったのは、相変わらずこの国は「自己責任」主義国家なのだということです。
自らの命は自分で守ってください、台風の備えは自分でしたくださいと繰り返し叫ぶテレビにおそらくほとんどの人は洗脳されて、前に書いたようにパンとラーメンを買いあさったのでしょう。
http://cws-osamu.cocolog-nifty.com/cws_private/2019/10/post-be31de.html
これはある意味での国家責任の放棄ではないかと思いますが、まだ多くの人は自己責任に疑問を待っていないような気がするのです。
また誤解されそうですので、蛇足を追加すれば、自己責任は当然のことです。
しかし、「自己責任」だけでは生きていけないので、私たちはそれ(自己責任)をベースに社会や国家をつくっているわけです。
自己責任ですべてがうまくいくなら、国家など不要です。
国民の自己責任を言うなら、まずは自ら(政府、行政、マスコミ)の責任を考えろと言いたくなります。
強く感じた疑問は、それにつながります。
これほど強く自己責任を国民に問いながら、政府や行政はどれだけの備えをしているのだろうかという疑問です。
マスコミは、それをほとんど伝えてきませんし、それを政府に問うこともない。
15号台風の千葉の被災に関して、その後もほとんど何も変わっていないのではないかと思えるほど、マスコミは問題を明らかにしていません。
今回、私が一番疑問に思ったのは、城山ダムの放流の件です。
放流がずるずると遅らされていましたが、これだけの大雨予測がかなり前から報道されていたのに、どうして事前にダムを空にしておかなかったのかという疑問です。
すでに台風が近づき雨が降り始めているので、まだ放流時間を議論している。
まだやっていないのであれば、すぐに放流しろよと思いました。
早ければ早いほど貯水能力を高められるし、河川流域の住民にも危険を実感させられるうえに、その気になれば河川決壊の危険個所も探知できるかもしれません。
テレビを観ていて、これほどいらいらしたことはありません。
もう一つの疑問は、河川決壊に関する備えを行政はきちんとやっていなかったのではないかということです。
多摩川の決壊で、すぐ近くの福祉施設やマンションが水浸しになり死者まで出ました。
1週間近く前から今回の大型台風が予想されていたのであれば、河川決壊の可能性はわかっていたはずですから対策は立てられたでしょう。
堤防を補強するのは難しいとしても、そのおそれがあるところは把握できているはずです。
できていないとすれば、先年の常総市の体験を無駄にしているとしか言えません。
もし危険性の高い場所がわかっていたのであれば、その周辺の人に周知するだけではなく、シミュレーションによって1階まで水没しそうなところに関しては、万一に備えての対策をとれたはずではないかという疑問です。
当日、自衛隊などが危険性の高いところに事前に機材を持ち込んでの配備をしていたような様子もテレビで見ましたが、もっと前から準備ができたはずです。
もちろんあまりにも広域ですから、そんなことはできないと言われそうですが、「できない」といったとたんにすべては終わります。
国家の最大の使命は国民の安全を守ることだと思っている私は、今回の大型台風に関しては、政府は国民に危険を煽るのには熱心でしたが自らはあまり熱心に取り組んでいなかったのではないかと思えて仕方ありません。
相変わらずの各地での河川決壊も「数十年に1度の大型台風」だからといって、行政や政府の対応がまたきちんと検討されずに終わってしまっては、また次回も同じことになりかねないのではないか、と危惧しています。
フクシマの原発事故が「想定外の津波」だったというわけのわからない理由で見過ごされたような構造が、今回も繰り返されているような気がします。
国家の目的は何かを、もっとみんな真剣に考えるべきです。
*昨日フェイスブックに投稿しましたが、反論も多かったので、ブログにも載せることにしました。
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