■CWSサロン「小学生の過ごし方が大人なった時に与える影響」報告
テーマの関係か、いつもと違って女性中心のサロンになりました。
しかも孫世代に関わっている女性が多かったです。
こういうところにも、いまの日本社会の現実が読み取れます。
かわさきさんは、なぜ学童保育活動に取り組むようになったかを話した後、子供を取り巻く現在の社会環境や子育てに関する最近の動きなどを紹介してくれました。
それを踏まえて、かわさきさんが主宰している「学童・子ども教室 まぁはす」の活動について、具体的に紹介してくれました。
かわさきさんは、小学生の過ごし方が大人なった時に与える影響の大きさを知って、この活動に取り組みだしたそうです。
「まぁはす」の基本理念は「体験に勝る学びなし」だそうです。
その理念のもとに4つの基本プログラムを展開しています。
「自然体験」「日本文化」「外国文化」そして「地域交流」です。
この4つの柱に、かわさきさんの思いが象徴されています。
他にもスペシャルプログラムがあり、年間でいえば、子どもたちのいろいろな関心事に合わせた100以上のさまざまなプロジェクトがあるそうです。
お話をお聞きしていて、いずれもかわさきさんのこれまでの多彩なキャリアを活かして体験的に開発されたプログラムであると感じました。
子ども視点での環境整備にも心がけていることもよくわかりました。
かわさきさんが、大事にしていることの一つが、子どもたちの「夢」です。
小学生の時期は、夢に向かって歩き始める時期でもありますから、かわさきさんはそれを大切にしているのです。
そして、子どもたちが持っている良さを引き出すのが、かわさきさんの仕事です。
子どもだからと妥協せずにできるだけ「ほんもの」と出合わせようとしている、かわさきさんの姿勢にも共感できます。
かわさきさんの話の後、みんなでの話し合いになりました。
今回は子どもに関わっている方も多く、参加者のお話も示唆に富むものばかりでした。
障害を持つ子どもたちに関わっている人も数名参加されていましたので、そういう話題も出ました。
「障害」をどう捉えるかの話もありましたが、立場によって、捉え方も微妙に違うことを知ることも大切だと、改めて思いました。
子どもの両親や家族の問題も出ました。
子育てにとって、家族や家庭の大切さですが、そこが分断されがちな今の子育て制度は考え直すべきではないかと私は思っていますが、みなさんの話を聞きして、改めてその重要さを確認できました。
制度に規制されることによる問題も話題になりました。
制度に合わせた子育てではなく、子ども視点での制度発想が必要だと思いました。
かわさきさんの取り組みの根底には、それがあると感じましたが、公の学校制度ではそれは難しいのでしょう。
食の話も少し出ました。
子育て(子育ち)や教育にとって、食ほど大切なものはないと思っている私は、食の問題にはもっと目を向けなければと思っています。
まだいろいろとあったと思いますが、このくらいで。
私が一番印象に残ったのは、かわさきさんが話した「渋柿の話」でした。
「まぁはす」では自然体験を重視していますが、たとえば渋柿が渋いなどとは教えないそうです。
まずは渋柿を実際に食べて、渋さを自分で体験するように仕向けます。
そして、その渋柿を干し柿にしていくと甘くなることも、自分たちで体験的に実感させるそうです。
翌年、次の子どもたちが入会してくると、渋柿のことを体験的に知っている先輩の子どもたちは、後輩の彼らに渋柿を勧めて食べさせ、その反応を楽しむそうです。
そうやって体験の知が伝わっていく。
同時に、学びの面白さや知識の大切さ、あるいは人間関係のつくり方も自然と身に着けていく。
そういう学びは、最近の学校から消えてきているのではないかと思います。
この話に関連して、子どもたちのグループが世代割りになっていることも話題になりました。
最近はそういうことの見直しも始まり、世代を通したクラス編成や世代間の交流の仕組みづくりも始まっていますが、まだまだ基本構造は変わっていません。
しかし、人は同世代で生きているわけではなく、むしろ多世代交流で生きているのです。
我田引水ですが、湯島サロンのような多世代の話し合いの場が、もっと増えてほしいですし、子どもの育ちの場にももっと多世代の人たちが関わっていけるようになるといいなと思いました。
子ども関係のサロンは、今年はあまり開催しませんでしたが、来年は少し力を入れていこうと思います。
話したい方、ぜひご連絡ください。
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