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2020/03/24

■第7回リンカーンクラブ研究会「〈多数者の専制〉を回避する方策」報告

新型ウイルス騒ぎにもめげず、7人が集まりました。

Kc72
今回は、前回課題の整理で終わった「民主主義政治における合意形成」を、テーマに話し合いました。
前回参加しなかった人もいたので、最初に前回、武田さんが整理してくれた「合意形成を考える課題」を復習しました。
前回、武田さんが説明したように、リンゴ2つとミカン3つを足したらいくつになるかの話から入りました。リンゴとミカンは足せないが、いずれも果物であることに着目したら、5つと合算できる。合意のポイントは「違い」に着目するのではなく、「共通点」を見つけ出すということです。
つまり、合意とは話し合いを通して、相互の違いの中から共通するものを見つけ出すこと、あるいは共通することを創り出すこととも言えます。
しかし、同時に、合意するということは、それぞれ違った意見があるということです。
主体性のない単なる群れ(オルテガの「大衆」)では合意が問題にならないが、個性のある多様な人たち(ネグリの「マルチチュード」)には合意が問題になります。

そんな復習をしたうえで、今回は「多数者の専制」を切り口に話し合うことにしました。
民主主義において多数者が少数者を抑圧する現象は昔から指摘されていたことですが、最近の日本ではまさにそうした状況が日常化してきています。
それをどう回避するか。
同時に、多数決による合意は果たして正当性があるのか、といった議論です。
多数決で合意された後の監視・阻止・審判の重要性を説く「カウンター・デモクラシー」の話も出ました。「合意する民主主義」から「監視し阻止する民主主義」へと変わってきているという話です。
そうした切り口からさまざまな話が出ました。

いずれも正面から話し合ったわけではありませんが、さまざまな視点から多様な議論で盛り上がりました。あまりに多様で報告は難しいですが。
しかも今回は、まさに午前中に、地域の公共施設の利活用に関する集まりで、「合意の暴力」を体験してきた人が参加し、なまなましい話題を提供してくれたので、とても具体的な話し合いになりました。
やはり具体的な事例で話すと問題ははっきりしてきます。

新型ウイルスへの政府の対策や森友問題に絡んだ赤木さんの遺書問題も話題になりました。
こうした事象にも「合意形成」の問題が見えてきます。

時間をかけてゆっくりと進めていった合意形成が、生産性を重視する時代の中で、いつの間にか多数決主義にとって変わられてしまいました。
多数決は情報の共有や公正な熟議があってこそ、正当性を確保できますが、形式的な多数決はさまざまな問題を引き起こします。
改めていま、多数決と民主主義について考えていくことが大切だと思います。

この問題は、茶色の朝サロンでも、さらに考えていければと思います。

 

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