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2020/03/06

■湯島サロン「農福連携から見えてきたもの」報告

「農」も「福祉」も実践しながら農福連携のあり方を研究している宮田喜代志さん(熊本地域協働システム研究所相談役)に、今年もまたサロンをお願いしました。
宮田さんには定期的にその活動を報告してもらっていますが、いつも実践活動を通した新しい発見と世界に触れられます。
今回のメッセージは、「地域を支えるはコミュニティ=小さな事業者の協働。小さいことはいいことだ!」ということでした。

Miyata2003

宮田さんは、まず全国の事例研究を踏まえての「農福連携」の3つのステップから話し出しました。
いいかえれば、農福連携を進めていくための3つの課題と言ってもいいでしょう。

第1ステップは農業者と障害者の出合いの場をつくることです。
第2ステップは、その出合いからどのような活動を生み出すか。つまりお互いの良さをどう活かし合っていくかです。
そして第3ステップは、そうした多様な活動を通して、事業者として雇用の場を創出し、地域経済の担い手になっていくということです。

こうしたステップはまさに地域づくりそのものですが、その過程でさらにさまざまな人のつながりが育ち、そこから新しい地域コミュニティ(地域共生社会)が形成されていくと宮田さんは考えています。
農福連携の出発点は、労働力不足で行き詰まっている農業と福祉をつなぐことで問題を解決しようということでしたが、いまや地域経済を主導し、人間主役の新しいコミュニティを生み出す、きわめて積極的な活動になってきているわけです。

そうした活動のためには、3つのことが大切だと宮田さんはいいます。
時間をかけた地道な積み重ね、顔の見える人のネットワーク、活動を継続していくための資金を回していくマネジメント力。
すでにいろいろな成功事例も出てきているとして、福島県の社会福祉法人こころんの活動を紹介してくれました。

さらに農水省が進めているビジョンや人の育成のプログラム、農業版ジョブコーチや農福連携技術支援者養成などについても紹介してくれました。

そうした話を踏まえて、宮田さんは、現実に地域にいる農福連携の主体は大企業でも公機関でもなく、小規模な事業者であるということを忘れてはならないと強調しました。
小規模な事業者は、経済主体であると同時に、生活主体でもあり、そして文化主体でもある。そういう地域共生社会の主体である事業主体が、学習する組織として成長することが地域再編成のカギとなるというのです。
そして、京都大学岡田教授の提唱している「地域内再投資論」を少し紹介してくれ、これからの経済のあり方にも示唆を与えてくれました。

そこからさらに話は広がっていくのですが、長くなるので省略して、最後に宮田さんが話したことを、言葉もそのままに紹介します。

生きる。食べる。はたらく。つくる。これが人間社会の根源的なしくみ。
これが本当なら、人と人が有機的に結びつくような関係性が社会の基調となる。
最近、都会ではこれをオーガニックと呼び、人と人がつながる動きが始まっている。
やがて、私たち『田舎者の出番』が来る社会になります。

「オーガニックな社会」
共感できます。
『田舎者』に期待したいです。

宮田さんの今年の活動計画も話してくれました。
海外も含めて、今年も宮田さんの活動はさらに広がりそうです。
次回のサロンが楽しみです。

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