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2020/04/01

■生きるためには死をもいとわない生き方

新型ウイルスの広がり状況を見ていて、ポール・メイソンが「ポスト・キャピタリズム」で書いていたことを思い出して、発想を少し飛ばしてみました。

メイソンは、資本主義世界がいま次の世界へと移りつつあることを示唆しているのですが、そこで「封建主義世界から資本主義世界」への移行について簡単に紹介しています。
メイソンは、封建主義とは「義務を基盤としたシステム」だといいます。小作人が、地主に自分たちが作った農作物の一部を義務として差し出す。地主の代わりに兵役に服することもある。地主は王に税金を支払う義務を負い、要求されれば軍隊に物資を支給する、…というわけです。
そうした世界に、金融を基盤とした新しいシステムが生まれてきた。そして、大きく転換していくのですが、その移行過程をこう書いています。

農業を基盤とした封建モデルは、最初に環境上の限界にぶち当たり、それから黒死病という甚大な外的ショックに直面した。その後、人口動態ショックが起こった。つまり、農地での働き手があまりにも少なくなり、賃金が上がり、封建制度の旧システムでは人々に義務を押し付けることが不可能になった。労働人口の不足により必要となったのが技術的な革新だ。

何やら現代とそっくりのような気がします。
とりわけ不気味なのが環境上の限界と黒死病(ペスト)です。

ちなみにヨーロッパの人口の4分の1の命を奪ったペストは、イタリアとスペインから始まりました。そのいずれも、社会の仕組みが劣化していたからだとも言われます。
これも現代の世界の状況との類似性を思ってしまいます。

さらに発想を飛ばすと、次の世界(未来)はまた「封建世界」かもしれないということです。
最近の日本はすでに「義務(従順)を基盤としたシステム」になってきています。
みんな王様に命令をお願いしている状況です。
自分を生きるよりも、生物的生命を生かせてもらうことをみんな目指しだしている。
生きるためには死をもいとわない生き方です。
これはAI世界につながります。

ここでの「生きるためには死をもいとわない生き方」には真逆な意味が含意されています。
そういう視点で考えれば、私が理解する意味とたぶん現代日本のほとんどの人たちが考える意味とは真逆だと思います。
だから私がサロンを続ける姿勢もわかってもらえないのでしょう。

私にはもうほとんどの日本の人たちは生きることをやめているのに、どうして新型ウイルスが怖いのかが理解できません。
こんな言い方をするとまた叱られそうですが。

ところで、メイソンは未来を展望してこう書いています。

次の50年に外的ショックが起こらなければ、私たちはゆっくりと物事を進めていける。穏やかな移行のプロセスでは、国家が規制を通じて変化の進行役として機能するだろう。しかし、甚大な外的ショックが起これば、中には集中して迅速かつ猛烈に進めなくてはならないときもある。

新型ウイルスは、もしかしたらこの「甚大な外的ショック」なのかもしれません。
ちなみにメイソンが例示していた「外的ショック」は地球温暖化と人口増加です。
第3の「外的ショック」かもしれない新型ウイルスは、あまりにも荒っぽいやり方なので、私は「戦う」のではなく「共存の道」を探るべきだと思っていましたが、どうもみんなはそう思っていないようです。
いまだに1年後にはオリンピックができるなどと思っているのが不思議です。
日本の若者世代よりも「危機感」がないとしか私には思えません。

新型ウイルスの問題は、時間的に数か月程度の問題でもなければ、空間的にクラスターで起こっている問題ではないように思います。
社会の基礎条件が変わろうとしているのではないかと私は思っています。
この2~3か月、生き方を変えれば危機を乗り越えられるような話ではないと思います。
乗り換えるためには、一人ひとりが生き方を考えるべきであり、感染者数の発表数が増えてきたからといって、外出を自粛するようなことでいいとは私には思えません。

すでに感染は社会に広がっているはずですから、そこでの生き方(日常)を自らで考えていくことが大切だと思っています。

 

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