■湯島サロン「新型コロナウイルスとどう付き合うか」報告
細菌学者の益田さんにお願いして開催した「新型コロナウイルスとどう付き合うか」は時節柄、過密にならないように定員を決めての開催でした。
暑いくらいの日でしたので、部屋の両側のドアを開けて、風が通り抜けるような状況で行いました。
話をはじめる前に、益田さんは、1枚の絵をランダムに数枚に分断したものを渡して、それを復元させてはじめて全体の絵が見えてくることを体験させてくれました。
ウイルスも、部分をいくら見ていても正体はわからないということでしょうか。
テレビや新聞には、毎日たくさんの情報が流れていますが、それらは「部分」でしかありません。その部分情報に私たちは、振り回されているのかもしれません。
コロナ騒ぎの当初、「正しく恐れよ」ということが盛んに言われた時期がありましたが、あの言葉はもうみんな忘れてしまったようです。
私は、益田さんから、何回話しても理解しないなと言われていますが、そもそもウイルスのことはまだわからないことも多く、益田さん自身,わからないことはわからないと言いながら、ていねいに話してくれたので、さすがの劣等生の私もだいぶわかってきました。新型コロナへの共感も高まりました。
新型コロナは、これまで平和に生きていた宿主のコウモリとの関係を維持できなくなり、新たな宿主を人間に求め出したというところから、話が始まりました。
なぜコウモリとコロナウイルスの平和な関係が壊れたのかも興味ある話ですが、それ以上に、新しい宿主の人間との付き合い方がわからないで混乱を起こしているのだろうと、私はコロナウイルスに同情してしまいましたが、こういう受け取り方をしてしまうので、益田教授からは、文系は情緒的だと叱られるわけです。
そこから、ウイルスはどうやって増えていくのか、とか、遺伝子のセントラルドグマとか、アポトーシスとか、話は難しくなっていくのですが、参加者の理解の様子を確かめながら、質問を促してくれるので、なんとかついていけました。
後半では、新型コロナに関する現実的な話に移り、ワクチンの話や血栓の話、抗体と抗原、濃厚接触と濃厚感染、そして「少量感染」、手洗いとマスクの効用、さらにはこの状況の出口をどう考えるか、ソーシャルディスタンス、免疫力、既往症との関係など、質問に応じて、益田さんは他の病気の話も入れ込みながら解説してくれました。
私が一番印象的だったのは粟粒結核の話でした。
宿主である人間の結核菌に対する抗体作用が作動せずに、結局、人間と共に死んでしまう結核菌の話です。その話を聞いて、ウイルスと人間はやはり協力するべき関係なのだと改めて確信しました。
対話型のサロンなので、内容を報告してもあまり意味がありませんが(受け止め方も人それぞれです)、ともかく、私はとても安心しました。
終了後、参加者から、「ウイルスについて、専門家の方のお話を直にお聞きできるチャンスを作ってくださって大大大感謝です」「やっぱりお話を伺って良かった。こんな時だから、専門家からきちんとしたお話を聞いておかないと思います」などというメールが届きました。
私も同じで、むやみやたらに 恐れることはないと改めて思いました。
「益田先生のお話で「少量感染」を心がければ良いんだと、とても気が楽になった!」というメールも来ました。
問題は、どうしたら「少量感染」などという器用な対応ができるかですが、それはそれとして、「気が楽になる」ということは大事なことです。これは益田さんの意図に反するかもしれませんが、みんなそれぞれに自らの生き方を考え直す時間になったと思います。もちろん十分に感染予防に注意して、です。
益田さんに改めて感謝します。
ところで、今回は定員8人にしたため、参加できなかった人が少なくありません。
そこでもう一度、益田さんにお願いして、5月16日(土曜日)の午後2~4時に、同じようなサロンを開催することにしました。定員はまた8人に絞らせてもらいます。前回申し込まれて定員オーバーで参加できなかった方を優先させてもらいますが、参加ご希望の方は私宛(qzy00757@nifty.com)ご連絡ください。
確認のメールを送らせてもらいます。
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