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2020/06/12

■4642:知識と知恵

「知識は私たちの心を安定させ、不安を振り払ってくれる。知恵は私たちをぐらつかせ、不安にする」。

これは昨日読んだ「人類学とは何か」という本に出て来る言葉です。
イギリスの人類学者ティム・インゴルドのこの本は、とても示唆に富む本ですが、この言葉には違和感がありました。
もっとも本書全体の主張という視点で捉えれば、素直に受け取ることもできるのですが。

しかし、いま広がっているコロナ不安に関して言えば、知識は不安をもたらし、知恵は不安を収めるという方がすんなり入ってきます。
コロナだけではありません。

いまリフォームに取り組んでいますが、これも中途半端な知識が迷いを生んでいます。
リフォーム会社の人と打ち合わせなどせずに、すべてを任せてしまえばいいのですが、なまじ中途半端な知識があり、さらにいろんな情報が入ってくると迷いが生じてしまうのです。

考えてみれば、癌治療も同じだったかもしれません。
友人の状況があんまり良好ではなさそうです。
彼もたぶん「知識」の洪水の前で不安を高めていることでしょう。

入ってくる情報や知識は、受け取る容量によって、過不足が生じます。
不足であれば不安が高まり、過剰であれば、やはり不安が高じます。
知識や情報は付き合い方がなかなか難しい。

受け手が1人ではなく2人であれば、受容量は一挙に大きくなります。
だから一人で悩んではいけないのです。
相談すれば、状況は大きく変わるはずですが、相談相手は誰でもいいわけではありません。一緒に受け止める相手次第では、話はさらにややこしくなるかもしれません。
ですからそう安直に、問題をシェアするわけにもいきません。
要は、これまでの生き方がつながっているのです。

人類学の本を読みながら、いま私が抱えているいろんな問題のことを考えました。
私はたくさんの書籍から知識を学びましたが、私に知恵を与えてくれたのは節子だったなと改めて思いました。
いまの私は、知識と知恵のバランスが多分崩れているのでしょう。
あんまり心が平安ではありません。

 

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