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2020/06/24

■湯島サロン「21世紀の平和憲法を考える」報告

長年、平和や人権の問題に取り組んできた川本兼さんの「21世紀の平和憲法を考える」は、テーマが大きいので1回では終わりそうもないのですが、今回は川本さんの主張をまずはしっかりと聴こうという感じで、講義型で行いました。

川本さんは、戦後日本国民がもった「戦争そのもの」「戦争ができる国家」を否定する「感覚」を高く評価したうえで、それがアメリカからの「押しつけ憲法」の9条とつながったことで、日本人は平和が実現したと「錯覚」してしまい、その「感覚」を普遍的な理念(思想)にしてこなかったことが最大の問題だと考えています。

そしてこのままだと、その平和の感覚も風化し、日本の平和運動は次世代にも世界にも広がっていかないのではないかと危惧しているのです。
だから、戦争体験を通じて獲得した日本国民の戦後の「感覚」に「ロゴス」としての「言葉」を与えてそれを思想にし、さらにそれを世界に発することが急務だと言うのです。

そのために、川本さんは日本国憲法改正私案を提案しています。そしてみんながそれぞれの憲法私案を創って議論し合い、日本人による新しい近代憲法を創ろうと呼びかけているのです。

こうしたことから、川本さんは改憲論者に思えるかもしれません。
しかし、そうではありません。川本さんは、現在の護憲論者以上に「護憲論者」と言ってもいいかもしれません。そこを見誤ると川本さんの提案の真意にたどり着けません。

今回のサロンには、残念ながら、いわゆる「護憲論原理主義者」の参加がなかったので、こうした議論は深められませんでしたが、川本さんは運動論的に平和憲法を考え、21世紀の平和憲法の先に22世紀の平和憲法も見ているのです。

川本さんは、現在の日本国憲法に関して2つの問題があると指摘します。
第1に、近代憲法ではないというのです。それは憲法の章立てが「天皇」から始まっていることに象徴されています。近代憲法は、人権原理が出発点でなければいけません。
第2に、9条があるとしても、それは日本の牙を抜くためのものであって、本来的な意味での平和条項ではない。「平和」は単に戦争のないことではなく、人権が尊重されるところにこそ平和の真意があるというのです。
その2点から、川本さんは真に平和を目指すのであれば、9条護憲論者こそが憲法創案に真剣に取り組むべきだと主張するのです。

こういう大きな問題提起につづいて、日本憲法の人権規定の問題点や方向性が具体的に説明されました。そして、それにつながる形で、9条に関しては、むしろ自衛軍としての現実を踏まえて、議論していくべきだと提案します。ただし併せて「反徴兵制」をセットにすべきだというのが川本さんの「21世紀」の平和憲法案です。

それに基づいて話し合いが行われました。
今回は講義型だったこともあり、時間が足りなくて、話したりなかった感じがありますので、できればもう一度、9条に焦点を当てて、「護憲論者」も入れて、議論したいと思います。

川本さんの著書「21世紀の平和憲法」をまだお読みでない方は、ぜひお読みいただき、次回の激論サロンにご参加いただければうれしいです。

  Heiwakenpo

 

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