■節子への挽歌4708:すごい本を読んでしまいました
節子
すごい本を読んでしまいました。
昨年、晶文社から出版された「急に具合が悪くなる」です。
宮野真生子さんと磯野真穂さんの往復書簡が、その内容です。
磯野さんは、先日、朝日新聞のインタビュー記事で知った医療人類学に取り組んでいる人ですが、磯野さんのFBで、この本を知ったのです。
ともかくとんでもなくすごい本だと、私は思いました。
磯野さんが書き送った書簡の相手は、九鬼周造の研究者の宮野真生子さんです。
2人が知り合ったのはつい最近のこと、そして2019年の4月の下旬から書簡のやり取りが始まりました。しかし、それは長くはつづかず、宮野さんから磯野さんへの2019年7月1日付けの書簡で終わっています。なぜならその週の土曜日に宮野さんは病院に緊急搬入され、亡くなったのです。
知り合った(そういう表現は適切ではないかもしれません)時には、すでに宮野さんは癌が進行していて、ホスピス探しをしていたそうです。
往復書簡は2か月ちょっとの期間に10回行われていますが、とてもそんな短期間のものとは思えない内容です。しかも、明らかにそれぞれの考えや関係が大きく変化しているのもよく伝わってきます。この2か月の間に、2人はそれぞれ数年を生きているような気がします。日付を見なければ、読者はそう思うでしょう。
生きるということは、あるいは人と付き合うということは、こういうことなのかと、教えられました。
同時に、こんなに深く、人は邂逅できるものなのだと感激しました。
魂のふれあいとはこういうことを言うのでしょう。
読んだ後、ちょっと動けないほどでした。
そして思い出したのが、「がん患者学」の柳原和子さんです。
この挽歌でも書いたことがありますが、柳原さんもまたがん患者でした。
テレビで見た柳原さんの発言を、私のホームページで取り上げたのを読んだ柳原さんがメールをくださり、以来ささやかなメールのやり取りをしました。
当時私には余裕がなく、そのつながりを私は深めることができないうちに、柳原さんは亡くなりました。
ずっと心残りになっていますが、なぜあの時に会いに行かなかったのか。
またちょうど今、私は死に直面している友人と関わっています。
彼は幸いにいま退院できたのですが、「癌だと急に具合が悪くなってしまうことがあるので、気を許さないで」と言い続けてきました。毎日、電話で連絡は取るようにしていますが、それとも重なってしまってもいるのです。
それにしても、この本はすごいです。
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