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2020/09/02

■第2回益田サロン「モノづくりと臨場の知」報告

細菌学者の益田昭吾さんによるサロンの2回目のテーマは「モノづくりと臨場の知」。
細菌学や感染症とどうつながるのか、と思った人も多かったと思います。
しかし、病原菌史観?を持つ益田さんにとっては、何の違和感もないのです。

益田さんは、新聞の折り込みチラシや牛乳パックなど、廃棄される紙を材料にして、さまざまな手作り作品を創っています。
今回は、その作品をたくさん持ってきてくれ、まずは参加者で遊んでもらったり、その構造を知ってもらうために壊してもらったりしながら、その過程で気づかされる知を踏まえて、自らが得た「臨場の知」の話をしてくれました。

最初に取り組まされたのは「メビウスの輪」をつかっての簡単な課題でしたが、それが簡単のようでなかなか難しい。
ともかくやってみることで、解決策を言葉で説明することのむずかしさを思い知らせてくれました。逆に言えば、言葉でいくらていねいに説明されても、なかなか正解にはたどり着けない。それを身をもって体験させてくれたわけです。
体験するには、興味をもたなければいけません。紙で作ったコマを見て、それを自分で作りたいと思うかと問われたので、私は作りたくないと正直に答えたら、もうその時点で臨場の知への道が閉ざされると叱られました。
そして作る気がないのなら、コマを壊してみたらと勧められました。幸いに私は壊すことは大好きなので、壊しましたが、そのおかげでコマの構造やなぜうまく回るのかを考えるヒントが得られました。

次に手づくりぶんぶんゴマです。うまく回らない人が多かったのですが、どうしたら回るようになるかを、体験させてくれました。益田さんが持参したぶんぶんゴマは一見完成されたようでしたが、実は未完成のものでした。益田さん自身がいろいろと試してみて、行き着いた過程をミニ体験させてくれました。
まあそんな風にして、いろんな話をしてくれました。紙とんぼも面白かったです。

それに合わせて、母性と父性、常在性と病原性、保守と革新などの話が出てきて、病原体や感染症にもつながっていきました。
お金や生産性の話も出てきましたが、臨場の知と言語の知とがなかなかつながらず、ちょっと私には消化不良でしたが、逆に言えば、臨場の知と言語の知の対話のむずかしさを教えられた気がします。

最近の子どもたちの遊びの話も出ましたが、電子ゲームなどの広がりで、手づくりおもちゃで遊ぶという臨場の知を育てる場がなくなってきたなかで、益田さんの手づくりおもちゃの効用は大きいと思いました。
益田さんは、昨年までは手づくりおもちゃのワークショップもしていたそうですが、コロナ騒ぎでやめになっているそうです。
もしどなたか子どもたちを対象にしたそうしたワークショップをやりたい方がいたら、ぜひ益田さんに声をかけてください。大人でももちろんいいですが。

最後に最近のコロナ感染症に関する話もちょっと出ました。新型コロナも、生き残るためには常在菌化するだろうという話が私にはとても印象的でした。彼らも一生懸命に生きようとしていることをもっと理解したいと改めて思いました。

なお湯島には益田さんのつくった手づくりおもちゃがありますので、関心のある人は湯島に来た時に言ってくだされば、差し上げます。おもちゃ作りワークショップをご希望の方はいつでも益田さんをご紹介します。まあ受けてくれるかどうかは、保証できませんが。

Masuda20200829

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