■コロナ管理社会の先にある世界
最近文庫本になって出版された半藤一利さんの「世界史のなかの昭和史」を読みました。
2か所、とても印象的だったところがあります。
一か所は「愛国心」についてですが、それにつながるような話として、半藤さんはナチス・ドイツと同じような道を日本人は歩んでいるのではないかという懸念を話しています。
こんな風にです。
“自主的な通報、密告のネットワーク”の脅威。戦争というものはそういう国民の協力があって推進されるものです。それがいいことだと、思考を停止し、信じこむ。集団化された人びとは熱にうかされやすい。画一的で、異質を排除する不寛容の傾向をもち、ときには暴力性をはらむ。共謀罪という法律が、「核兵器もアベノミクスも」と主張する人びとに想像以上に妙な力を与え、危機克服のためにナチス・ドイツと同じような道を日本人に選ばせるようなことが…いやいや、まさかとは思うのですが。
安倍政権への支持率が急上昇し、ナチス路線をとるグループによって、安倍政権の継続がほぼ決められました。「まさか」と思いたいですが、かなり現実感があります。現政権によるナチスの研究はかなり進んでいるようですし。
半藤さんの友人のドイツ国防軍研究の第一人者の大木毅さんは、その著書で、こう書いているとの紹介もありました。
国民の多くの『自主的』な通報、密告のネットワークが、ゲシュタポ(国家警察)の捜査活動を支えたのであった。この例が端的に示すように、ヒトラーは彼の戦争を遂行するにあたり、さまざまな問題をはらみながらも国民の支持を獲得しうる国内体制を固めていたといえる。だとするならば、『ヒトラーの戦争』は、ドイツ人の戦争としても読み解かねばならないだろう。(『灰緑色の戦史』)。
ますます自分の生き方をしっかりと考えなければいけなくなりました。
半藤さんの「世界史のなかの昭和史」は面白いです。
安倍首相にだけ目を奪われていると、世界が見えなくなります。
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