■第3回益田サロン「免疫の話」報告
細菌学者の益田さんのサロンの3回目は「免疫の話」でした。
最初に益田さんは、自ら手づくりしたコマをみんなに配り、それを回して、コマに「自己」を感ずるかという、謎かけめいた問いから始めました。
そして破傷風菌の話から、「自己」とは何かを問いかけてきました。
破傷風菌には、毒素を持つものと毒素を持たないものがありますが、毒素を持つ破傷風菌は寄生している生物もろともに死に、その生物の死骸から栄養を得て毒素を持たない破傷風菌を爆発的に増殖させることにより、破傷風菌を守っているのだそうです。
そんな話から、自己とは何か、そして増殖と自己保存の話になりました。
環境が悪化すると自らを保存するために「芽胞」になる戦略から、ウイルスとウイルス粒子の話も出ました。
さらに、臓器移植やアレルギーの話から抗体や免疫寛容の話へと広がり、時に脱線しながらも、自己非自己や免疫、あるいは新型コロナ問題を考える上での示唆がたくさんありました。
私にあまり報告能力がないのが残念です。
話し合いの中では、自然免疫の話や感染しても発症しない人が多いことへの疑問などが出されましたが、発症してこそ「病気」だろうと思っている私としては、陽性者数で議論されている風潮にどうも違和感があります。
その疑問はやはり今回も解けませんでした。
益田さんの話は、今回も新型コロナを考える上でも、さらには私たちの生き方を考える上でも、示唆に富むものでした。
たとえば、増殖と自己保存の問題は、まさに私たちの生き方につながってくるように思います。サロンの翌日、益田さんからもらったメールに、こんなことが書かれていました。ちょっと長いですが、引用させてもらいます。
生物は増殖することは良いことだというのも怪しいのですが、優秀な遺伝子を遺そうとするのも同様に怪しいのでは。優秀な遺伝子は自分だけで保有したい、ほかには渡したくないというのが本音ではないでしょうか。(中略)ウイルスが、条件が良ければ増殖するというのもおかしいので、むしろ条件が悪いから増殖するという方が正しい、宿主細胞の中で何もしないで存在を続けるのがウイルスにとっては最高のことなのでは。
とても納得できますが、みなさんはいかがでしょうか。
増殖や経済成長が、自己保存への不安から起こっているとしたら、その戦略以外の戦略もあるはずです。これからの社会のあり方や私たちの生き方を考える上での大きなヒントがそこにある。
益田さんは最後に、「新型コロナはお金の天敵かもしれない」というような話をしました。お金中心の世界の増殖を、新型コロナが邪魔しているというのです。
これには異論があります。
私自身は、新型コロナは天敵ではなく、お金の手先のように思えます。お金中心の世界が新型コロナを生みだし、お金中心の世界を増殖させている。金銭信仰や金銭格差は新型コロナでさらに拡大するのではないかと思います。
自己と非自己に関しても、少し議論がありました。私は、自己と非自己という「二項対立」ではなく、むしろ日本古来の「二項同体」という考え方が馴染めるのですが、自己と非自己の付き合い方を根本から考え直すのがいいように思います。
いま話題の新型コロナは、コウモリと平和な関係を保っていたのに、そこから出ざるをえなくなって、自己保存のためにいま、新しい寄生先を探していて人間がその対象のひとつになったといわれていますが、ここからもさまざまな示唆が得られます。
他にも、たとえば、新型コロナウイルスとコミュニケーションできるのかとか、ウイルスは成長や老化をするのかなど、いろんな話題もでました。
参加者が少なかったこともあり、個々のテーマも少し深堀できたのですが、横道も多くて、肝心の免疫の話はちょっと不十分だったので、次回もまた「免疫」がテーマになるかもしれません。
報告の文責は私にあります。不正確な表現があればお許しください。
隔月を目途に益田さんのサロンは継続します。
新型コロナに関心のある人はぜひ参加して、益田さんと直接話してみてください。
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