■緊急サロン「日本茶会運動の呼びかけ」報告
緊急サロン「日本茶会運動の呼びかけ」は、平日の午後の急なお誘いにもかかわらず12人の参加者がありました。コロナ感染がある程度抑制されている福岡からわざわざやってきてくださった玉井さんの2時間近くにわたる熱弁は、止まるところを知らず、止めなければ無限に続いたような気さえします。
玉井さんはまず、私がフェイスブックで書いた記事の中にある、日米の政治の違いを次の4点に整理してくれました。
日本ではアメリカと違い、国民と政治がつながっていない。
日本の政府組織には人間を感じない。
争点が明確なアメリカ、同じに見える日本。
日米ともに分断が進んでいるが、日本の方が分断が陰湿。
そしてアメリカでの生活体験を踏まえて玉井さんが実感しているアメリカの政治について、3点を指摘してくれました。
まずは「日本とは納税の形が違う。国による徴収が基本の日本と違い、アメリカは税がもっと自立・自治的」。
次に「三権の形が違う。アメリカでは、三権のすべてで、事務局と調査機関をもっている。明確な地域での三権があれば、自治を与えられる」。
そして「アメリカではそもそも自治は〈憲章(Charter)〉を通して自分たちで創られる」。
そして、日本でも、アメリカのように、国民が税に目を向け、自治に目を向けて行動を起こすべきではないかというのが、玉井さんの呼びかけです。税こそが政治と国民をつなぐ大きな仕組みなのではないかというわけです。
そして、その活動の拠点になるのが、「茶会」、ティーパーティーです。
玉井さんの呼びかける「茶会運動」には2つの意味が込められています。
まずはアメリカの「茶会運動」、いわゆるティーパーティー運動です。
アメリカのティーパーティーといえば、アメリカ独立戦争につながる「ボストン茶会事件」、そしてオバマ大統領時代の「大きな政府」路線に対する抗議運動を思い出す人が多いでしょう。いずれも「もう税金はたくさんだ(Taxed Enough Already)」の頭文字をつなげた“TEA”と「茶会」を重ねています。
玉井さんが「茶会」に込めたもう一つの思いが、利休につながる日本の「茶会」です。
玉井さんは、日本の歴史を振り返ると、最も節度のある美を創り出しているのは、利休の時代だといいます。茶会にはその理念が象徴されている。
その時代精神に戻る運動が、玉井さんの考える「日本茶会運動」なのです。
話のポイントは以上なのですが、玉井さんはそれにつながるようなさまざまな思いを自分の体験とつなげながら、2時間の熱気あふれる呼びかけをしたわけです。
ただ思いの強さが勝ちすぎて、では具体的にはどう動くのかが参加者には十分に伝わりませんでした。そこで、話し合いでは、そう言う質問が玉井さんに向けられました。
ところが玉井さんは、それをみんなで考えていきたいというのです。
そういうことを話し合い、行動につなげていく話し合いの場を全国に広げていきたい、今日は私にとってはその最初の場だというのです。
なるほど、それこそが「運動」です。誰かに何かを期待している限り、運動は起こらない。賽(サイ)はどうも参加者に投げられたようです。
話し合いでは、地域通貨の話とか、地方自治と税制度の話とか、日本刀を持つと意識が変わるとか、2時間話しっぱなしの茶会は茶会なのかとか、いやさまざまな茶会(サロン)があってもいいとか、スイスの民間防衛の話とか、いろんな話題が出ました。
サロンでは時間切れで玉井さんは直接は話されませんでした、資料によれば、玉井さんの思いは次のようなことのようです。
政治運動であり文化運動でもある「日本茶会運動」を始めたい。
それは、「文化」と「政治運動」をつなげた「文化政治運動」である。
心まで変わらないと本当の意味での改革はできない。
「政治運動」としては、まずは「源泉徴収ストップ運動」から、そして、「地方税」減税によるインセンティブでの地域づくり運動を展開する。さらには、憲法改正によるすべての税の地方税化を図りたい。
「文化運動」としては、日本文化で最も誇れる美しさをつくりだした、「茶の湯が生まれた時代精神」の復興を目指したい。理屈を超えた「美」で、目指すところを設定する。「茶会(茶文化の会)」を開いていきたい。
玉井さんの熱い思いが強すぎて、話題が飛び交ったため、こうしたメッセージが必ずしも参加者に十分シェアできなかったのですが、まあそのおかげで、本音がぶつかり合うサロンになった気もします。
玉井さんは、思いも含めてパワーポイントをまとめてきてくれていましたが、途中で時間切れになってしまって、肝心のこの部分までたどりつかなかったのです。しかし、玉井さんの話を聞いて少し頭が冷えたところでこのパワーポイントを読み直すと、玉井さんの意図がよくわかります。
関心のある人には、そのパワーポイントを配布するようにと玉井さんから頼まれました。ので、私宛にご連絡いただければ、お送りいたします。
それをじっくりと読めば、サロンに参加されなかった方も、玉井さんの思いは実感できると思いますので、ぜひお読みください。
そして玉井さんのメッセージを受けて、それぞれに何かを始めてもらえれば、わざわざ福岡からコロナの危険をおかしてやってきてくれた玉井さんも報われます。
来年もし機会があれば、玉井さんのその後の活動の話も少し話してもらうとともに、参加者の話もじっくりと聞いてもらうサロンを企画したいと思っています。玉井さんの熱い思いを鎮めなければいけませんから。
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