■湯島サロン「仲直りを広げよう」報告
2021年最初の湯島サロンのテーマは「仲直り」でした。
社会の「分断」が問題になっているなかで、いろんな意味での「仲直り/和解」がますます大切になってきていますが、それに加えて、新型コロナ感染拡大への予防策として「ニューノーマル」とさえ言われだした「ソーシャル・ディスタンス」や「外出自粛」が、人と人の関係を損なっていくのではないかととても心配です。
そんな思いから、今年は「関係」や「つながり」、あるいは「共感」や「共存」を湯島サロンのテーマのひとつにしていきたいと思っています。
今回は、その手始めとして、まさに「仲直り」を取り上げ、「関係改善支援の会」を立ち上げた吉本さんにサロンを開催してもらいました。
吉本さんはこれまで実際に、「仲違い」を解消したり、「仲直り」を支援したりする活動をしてきていますが、最初にこれまでに取り組んだ事例を紹介しながら、「仲直り」についての理解や意義、あるいは仲直りのための手順を考える視点を提供してくれました。
つづいて、「最近体験した他者とのトラブル」をテーマに、参加者自身が「事実と感情」を整理するミニワークショップを行い、自分の問題として「仲違い」や「仲直り」を考えさせてくれました。
そうしたことを踏まえて、後半は「仲直りのイメージ」「仲直りの意義」「誰と仲直りしたいか」「どうやって不仲を解消するか」を、一人称自動詞で話し合う場を作ってくれました。
参加者の中には、「仲違い」を個人の問題ではなく、国家間や集団間の問題も含めて捉えていた人もいたのですが、今回の仲直りは、あくまでも「個人と個人の関係」と吉本さんが限定してくれました。しかも、それぞれが自己開示するミニワークショップがあったので、話し合いは実にリアルで具体的で、私自身いろんな気づきをもらいました。
私が気付いたことの一つは、「仲が良い」と「仲が悪い」とはコインの裏表で、「仲直り」とは「仲」がちょっとずれてしまった関係を「直す」ことだという、まあ当然のことです。
言い換えれば、「仲違い」は「仲良し」の一つの表現型で、「仲」さえあれば、それが悪かろうと良かろうと、「良い関係」に「直せる」ということです。
問題は「仲が存在しない関係」、いいかえれば相手を「無視」しあう関係です。
嫌われることと無視されることとでは、どちらがいいでしょうか。
とすれば、「仲直り」よりも「仲創り」こそが大切ではないか。
しかし、むしろ「仲離れ」に向かっている人が多い現状に、いささかの懸念を感じています。
こうしたことから「仲直り」の問題を考えていくと、いろんなことに気づかされるような気がします。
この問題は1回では入り口にしかたどりつけないということで、吉本さんは今回を皮切りに、これから「仲直り」をテーマにした集まりを継続して開催することを呼びかけました。実際にある人と仲直りしたいという方を対象に、仲直りの輪を広げていくような集まりを目指すそうです。私も参加する予定ですが、もし実際に「仲直り課題」をお持ちの方がいたら、ぜひご参加ください。
サロンとはちょっと違ったスタイルになると思いますが、関心のある方は吉本さんか私に連絡いただければうれしいです。
新型コロナウイルスCOVID-19とも「仲良く」したいと思っている私としては、いろいろと考える視野を広げてもらえたサロンでした。
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