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2021/01/20

■湯島サロン「ゲノム編集」報告

山森俊治さんのサロンパート2は「ゲノム編集」をテーマにしてもらいました。
今回も山森さんは、くわしい資料を作成してくださり、それにそって質問も受けながらていねいに話を進めていってくれました。

サロンに入る前に、山森さんはこんな話をしてくれました。

昨今の科学技術の進歩は、非常に速いスピードで進行しており、その技術成果が、人類を繁栄させてきた一方で、人間の健康や生命をも操作できる存在として登場し始め、それをどのように扱うべきか現実の問題になってきている。また、早い進歩は倫理等の議論を後回しにできないことを意味している。
ロボット工学の進歩による自立型軍事ロボットの登場やゲノム編集技術の登場とその進歩による受精胚の操作の可能性などが一例としてあげられる。
今回のサロンでは、遺伝子を自在に操ることがきるゲノム編集技術とその倫理的課題に焦点を当て、話題提供をするので、参加者のみなさんからもさまざまな意見をいただきたい。

そして、そもそもゲノム編集とは何なのかを、3本の短いビデオ動画で紹介してくれ、そこから話に入りました。
前回同様、当日の配布資料は山森さんのご好意で、希望者には公開されていますので、関心のある方はご連絡ください。お届けするようにします。
資料にはサロン当日、紹介されなかった資料的なものも含まれていますので、サロン参加者には個別に送らせてもらいます。

ゲノム編集にかかわる科学技術の発展がもたらす問題としては、私の理解では、3つに分けて考える必要がありそうです。
まず「体細胞ゲノム編集」。人間や生物の体細胞の改造で、遺伝にはつながらないものです。これは医療面で大きな効用がありそうです。しかし、それが医療ではなく、例えば野菜や家畜などの食品産業で活用されると、人間の口に入ってきますから、「安全性」などの問題が発生します。いわゆる「遺伝子組み換え食品」「ゲノム編集食品」の安全性の問題です。これに関しては、規制や食品表示が課題になります。

医療面でも問題が全くないわけではありません。ゲノム編集によって「不老不死」の道が開けるかもしれませんが、そこに問題がないわけではありません。私のように、自然な老化と死の存在こそが人間の価値だと考えている者にとっては、これは大きな問題です。その先には、人間さえもが工業的に「生産」される可能性も否定できません。

さらに、「受精卵ゲノム編集」という「遺伝しうるゲノム編集」が、いわゆるキメラのように、全く新しい生物を出現させるかもしれないという不安があります。

こうしたゲノム編集が抱えている問題や不安について、実際に品種改良された家畜などで発生した弊害なども含めながら、具体的に話してくれました。
各国はゲノム編集に関するさまざまな規制をかけていますが、これは国家単位で完結する話ではありません。国を越えての取り組みが必要ですが、今のところそうした体制は十分にはできていないようです。
しかも、ゲノム編集などの証拠をつかむことは難しく、規制違反を摘発することも難しいようですが、そもそも日本では、国会審議さえ行われずに、ゲノム編集が解禁されているのだそうです。
日本では、遺伝子組み換え作物を使った油やお酢などは食品表示しないでいいことになっているそうですが、規制が厳しいEUに輸出する場合には、先方の規制に合わせて同じ食品にも「遺伝子組み換え食品」と表示しているそうです。
こうしたところにも、国民の知識と意識の差が出ていると山森さんは言います。
 
現時点では、ゲノム編集作物を食べて人体にどのような影響が出るのかは誰にもわかりませんが、表示義務も課せられていないため、消費者の知る権利、選ぶ権利が侵害されていることは大きな問題だと山森さんは指摘します。
そうした状況を変えていくためにも、私たちはもっと関心を持ち知識を身に着けないといけないのです。
原発は安全だと言われて安心していた過ちを繰り返してはいけなと山森さんはメッセージしてくれているのです。
まだまだ知識も意識も低い自分に気づいて大いに反省させられたサロンでした。

山森さんの作成してくれた資料をお読みになりたい方は私にご希望の方はご連絡ください。

Yamamoripart2

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