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2021/01/18

■疫病とも共生しようという文化

With コロナ」といった言い方もありますが、COVID-19との付き合い方はますます「戦闘」的になっているような気がします。それはとりもなおさず、社会に不安や怒りを広げ、「戦争」気分を高めることにつながっているような気がします。
いまや「ヘイト」の刃は、自らにまで向けられ始めているようにも思います。

昨年夏に出版された岩波新書の「コロナ後の世界を生きる」を最近になって読みました。
この時代を生きるたくさんの示唆が込められていて、たくさんのことに気づかせてもらいましたが、これまでの私の生き方を改めて肯定してもらったような気がして、少し疎外感が消えました。

そのなかで、ヤマザキマリさんが疫病に対する日本と西欧との違いを書いています。
ヤマザキさんによれば、「パンデミックを巨大な鎌を振り上げる恐ろしい骸骨の姿に置換えて気構える」キリスト教世界のヨーロッパと違って、日本には疫病とも共生しようという文化があったというようなことを書いています。

その例として、平安時代後期に描かれた融通念仏縁起を紹介しています。
ヤマザキさんは、「妖怪のような姿で描かれた疫病が念仏を唱える寺院の門に押し掛けているという情景が描かれている。彼らは門番から念仏を唱えている人の名簿を渡され、そこに名前が記されている人には悪さはしないとサインをして立ち去っていくのであると説明しています。
そして、「ウイルスとのなるようにしかならない共生という考えが、もしもこうした非常時の対策を考案する人々の意識下にあるのだとわかれば、国民も不安感や不平不満をため込むかわりに、自分で自分の命を守る判断力を強く持つことができるようになるのではないか」と書いています。

融通念仏縁起の絵は紹介されていなかったので、もしかしたらと思い、リフォームで倉庫状況にある書庫から「妖怪草子」を探し出しました。
そこに、たぶんヤマザキさんが紹介している絵が出てきました。
それにしても、疫病は多彩な姿をしています。
いま毎日のようにテレビで見せつけられているCOVID-19の姿とは大違いです。
話しかけたくなる表情の疫病もいます。
こうしたウイルスを見る能力も、現代の私たちは失ってしまったのかもしれません。

ヤマザキさんはこう書いています。

「融通念仏絵巻の門番に説得され、納得して退散していく物分かりの良い疫病は、自然現象との共生を諭す日本的な表現だと言えるかもしれない」。

とても共感できるのですが、残念ながら今の日本の、少なくとも都会には、こうした文化は消えてしまったようです。
私は、念仏は唱えていませんが、初詣にも行きましたし、COVID-19とも仲良くしたいといつも表明していますので、COVID-19も「悪さをしない名簿」に名前が書かれていると思います。

もしそれでも「呼ばれたら」行かないわけにはいかないでしょう。そういう人生を送りたいと思っているので、自分だけ逃げきろうなどとは一切思ってはいません。

ヤマザキさんは、この絵を見ていたら、「国民も不安感や不平不満をため込むかわりに、自分で自分の命を守る判断力を強く持つことができるようになるのではないか」と書いていますが、そうあってほしいものです。

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