■節子への挽歌4895:「佐藤さんはやっぱりバカだね」
節子
1か月ぶりにまた節子もよく知っている旧知のTさんから電話がありました。
昨年末、彼からあることを頼まれて、その気になっていろいろと苦労して協力していたところ、いざとなったら、考え直したいというので、いささか私もむっとしたことがあったのですが、それを本人も感じて、その後、連絡してこなかったのです。
しかしやはりまた連絡がありました。
彼とは40年近い付き合いですが、まあこうしたことの繰り返しが何回かあったのです。
今回は前回とは全く違う相談でした。
一言でいえば、ある作業を私に頼めないかという話です。
作業とはいえ、内容から信頼できる人に頼みたいということのようです。
その作業のやり方は以前にも彼には話していて、事実、業者に頼んだのだそうですが、それがどうもうまくいかなかったようです。
うまくいかないはずはないのですが。
自分でやるのが一番いいと改めてそのやりかたを電話で説明しているうちに、だんだん面倒になってきて、私がやったほうが簡単な気がしてきました。
それで、時間さえくれれば私がやると言ってしまいました。
もちろん彼は感謝してくれたのですが、そのあとに言われたのが予想外の言葉でした。
「やっぱり佐藤さんは段違いのバカだな」。
うん? どういうこと?
つづけて彼が言ったのは、私が誰かからこんなことを頼まれたら、自分には何のためにもならないので断るけど、やはり佐藤さんは引き受けてしまう、というのです。
こう書くと私が騙されたように感じられるかもしれませんが、そうではなくて、Tさんはむしろ誉めてくれたのです。たぶん、ですが。
私とTさんのあいだでは、「バカ」という言葉は、ある意味での誉め言葉なのです。
というよりも、少なくとも私は「バカ」という言葉を肯定的にいつも使っているのを彼は知っているのです。
そこに困っている人がいたら、手をかすのは、「雨ニモマケズ」の精神です。
私はまだその境地には達していませんが、心がけていることです。
Tさんは、それを「バカ」だという。
宮沢賢治も「デクノボー」と言っています。
私も、そういう人になろう、と改めて思いました。
それにしても電話を終わった後、どうしてまた引き受けたてしまったのか、ちょっと後悔しました。
どうもまだ本物のバカにはなれていないようです。
困ったものです。
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