■湯島サロン「鷹取家の歴史とブロックチェーン」報告
「ブロックチェーン」について、その社会的意味を中心に解説をお願いした今回のサロンは、鷹取さんの自己紹介や鷹取家の歴史の話から始まりました。それがとても面白く、鷹取さんらしい社会的メッセージも含まれていましたが、どこでどうブロックチェーンにつながるのだろうかと心配になりだしたまさにその時、突然つながってしまいました。みんなの個人史や家族史などの記録台帳(ブロック)をつないでいったら、大きなみんなの台帳が生まれ、自分の台帳もそれによって裏付けられ守られる。それを可能にするのがブロックチェーン(分散型台帳技術)だというわけです。
あまりに見事な話の運びだったので、なんとなくブロックチェーンがわかったような気になったのですが、だからといって、その信頼性や安全性には確信を持てず、よく言われるインターネット以来の最大の発明だとも思えず、ほんとうに社会を民主的な自律分散型にしていくのだろうかという疑問はむしろ高まってしまいました。
しかし、鷹取さんは、そこからブロックチェーンの最初の実用例ともいわれるビットコインに話を転じ、つづけてブロックチェーンというイノベーションの出現によって、それを使った「デジタル通貨」も広がっていることを話してくれました。
たしかに金融の分野では、資産管理や所有権移転には大きな効用を持っているようですし、これまでの金融システムを大きく変えていくことになるでしょう。
鷹取さんは、一時期よく使われた仮想通貨や暗号通貨に関して、最近は「通貨」ではなく「資産」という呼び方がされていると話してくれました。
私も、「通貨」という表現は今や誤解を与える表現だと思っていますが、「資産」という捉え方にもいささかの抵抗はあります。エコノミストの中には、いまだに通貨(貨幣)を資産と捉えている人も少なくありません。しかし、最近話題のMMT(現代貨幣理論)でも貨幣や通貨は単なる「データ」と捉えられています。手段であるデータと価値である資産は全く別のものだと思っている私としては、そこに大きな落とし穴があるような気がします。
鷹取さんのお話をお聞きしていて、ビットコインもブロックチェーンもデジタルアセットも、みんな「騙しの言葉」ではないかという気さえしてきました。
ブロックチェーンのメリットや応用例を紹介した後、鷹取さんは最後に、「分散自律型の何かを作る場合、そして、その運営のためにITシステムを構築する必要がある場合、ブロックチェーン技術の活用を検討する価値はある」と結論されました。
「検討する価値はある」!?。
私は、ちょっとブロックチェーンに期待しすぎていたようです。
たしかに、医療や政治、さらには教育などの非金融分野にも「ブロックチェーン技術」は広がっていくでしょうが、それが果たして「民主的」「分散自律的」な社会につながっていくかどうかはいささか危ういように思います。
それに関連して、金融を統治するのは誰なのかという議論もありました。ブロックチェーン技術を使えば、特定の個人が統治するのではなく、むしろ個人を離れたシステムやAIが、成長しながら統治していくというような話も出ました。
私は、そうなってほしくないと思いますが、結局はブロックチェーン技術をどう活かしていくかで、人がシステムの主役になるか、システムに隷属するか、に大きな影響を与えていくことは間違いないようです。
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