■湯島サロン「生きるために哲学は大切です」報告
30代の行動する若者、遠山さんによる「生きるために哲学は大切です」をタイトルにしたサロンは、天候が悪かったにもかかわらず、10人の集まりになりました。
遠山さんよりも若い人の参加がなかったのが、ちょっと残念でした。
「哲学」と言うと、日本では高齢者の問題と思いがちの人が多いですが、私は若い世代にこそ「哲学」が大切だと思っています。しかし日本では、「哲学」はなにやら難しい「学問」に仕立て上げられ、敷居の高いものにさせられています。
しかし、哲学は本来、「知を愛する」ことですから、若い世代のものだと思います。
私自身は、この歳になって「哲学」などという言葉を使うことさえ気が引けます。
それはともかく、私にとっては全く意外だったのですが、遠山さんはアリストテレスの「二コマコス倫理学」の話から始めました。そして、そこから遠山さん自身が得た気づきの結論として、次の3項目を上げました。
善・悪は、人にあるのではない、人のなす行為にある。
「人格」は、己の判断した行為の積み重ねで決する。
すべては自分の責任である。
そこから話し合いがはじまりました。
突っ込みどころ満載の結論ですので、そこから激しい異論や疑問のぶつけ合いが始まるだろうと思いました。しかし、話し合いは盛り上がりましたが、どうもこの結論は多くの人には素直に受容されたようでした。若者がいたら全く違う展開になったような気がします。
今回のサロンは、遠山さんの話を受けて、参加者それぞれが自らの生きる指針としての『哲学』を考えようというのが趣旨でしたので、意外とみんなすんなりとその結論を引き受けられたようです。これも意外でした。
話し合いはいろいろと広がりました。
私と同世代の参加者が、哲学とビジネスとどうつながるかの質問をされました。
これはとても興味ある話題でした。
しかしだれもいま話題の渋沢栄一の「論語と算盤」や近江商人の「三方良し」を口にしなかったのが意外でした。ビジネスに関わっている人であれば、すぐに「コーポレート・フィロソフィー」「企業理念」という言葉を思い出すでしょうが、今回はそういう分野で活動している人は誰もいなかったためかもしれません。
私も、話題がアリストテレスからだったので、そうしたことには言及せずに、アメリカのアスペン会議やグレートブックセミナーの話をしてしまいました。
「哲学」と「思想」、さらには「宗教」。「倫理」と「道徳」の話も出ました。
そんな感じで話題はいろいろと広がり、遠山さんも含めて、みんなそれぞれに気づくことはあったようです。ただ、いずれも経験からの話には至らずに、抽象的な話から抜け出せませんでした。
それがサロンの限界かもしれません。
一度、「哲学カフェ」スタイルのサロンをやってみようかと思いだしました。
これまではどうも抵抗があったのですが。
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