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2021/03/09

■第6回益田サロン「利己と利他」報告

細菌学者の益田昭吾さんの第6回サロンのテーマは「利己と利他」でした。

ドーキンスのセルフィッシュ・ジーン(利己的遺伝子)の話から入ったのですが、いつも以上に盛んな問いかけと話し合いで、益田さんがせっかく用意してくださった話の1割しか話せなかったと嘆くほどの盛り上がりでした。
それにしてもみんなどんどん詳しくなってきていて、私のような落ちこぼれにはついていくのが精一杯で、益田さんの話の内容報告は難しくなってきています。印象的な報告しかできず、サロンの議論の面白さをお伝えできないのが残念です。

今回のキーワードは、「利己と利他」「主体性」「有用性」「一子相伝と特許制度」でした。これだけ聞いてもつながらないかもしれませんし、想像を膨らませられないかもしれませんが、たとえば、家族の中での夫の立場の特異性や名物和菓子屋さんがなくなったというような、実に具体的な生活話題にまで話は広がっていました。その一方で、益田さんからは万葉集や金銭化された社会の問題まで指摘されていました。そういえば、AIやAI社会の話も出ていました。

こうして話が思わぬ話題に広がったり細菌やウイルスの話に戻ったりして展開されるのが、益田サロンの面白さなのです。私のように、ほとんどこの世界に無知な者でも、話し合いに入れてもらえます。みなさんもぜひ一度遊びにお越しください。

私が気になったことを3つ紹介します。

テーマの「利己と利他」ですが、問題は、「己とは何か、他とは何か」ということです。これに関しての話し合いもありましたが、己と他をどう捉えるかで、利己と利他は入れ替わります。さらには、己と他が構成している「環境(社会)」の捉え方も変わります。
それは生き方にも大きな影響を与えます。
湯島サロンに対する私の一つの期待は、みんなの己がどんどん広がり、利己と利他が融合することでもあります。己の世界が広がると煩わしさは増えますが、にもかかわらず生きやすくなるように思います。

もう一つは益田さんが提起した「私物化」の問題です。
益田さんは、自分が所有する有用な遺伝子はなるべくほかで使ってほしくない、有用な遺伝子ほど増殖させたくないというのが生命界の現実ではないかと言います。本当にいいものは自分だけで独占したいというわけです。それって、適者生存という進化論とどうつながるのかという疑問も含めて、私自身まだ十分に消化できていませんが、生命界には、みんなに役立つものこそが私物化される傾向がある。それが「一子相伝」や「門外不出」、さらには特許制度に現れていくのだというのです。
ここでも「己と他をどう捉えるか」が重要になってきます。

益田さんはまた、「usefulな遺伝子が集合してuselessな主体性を産む」という話もされました。私にはますます理解困難でしたが、どこに視点を置いてusefulかどうか判断するのか、そしてそもそもusefulとは何なのか、という問題に気付かせてもらいました。この話は、益田さんはサロンでかなりきちんと話してくれましたので、私だけがあまり理解できていないのかもしれません。もう少し考えたいと思っています。

益田サロンは、話を聞けば聞くほど、知らないことが見えてくる。
知らないことをどのくらい知っているかこそが知識であると思っている私には、いつも刺激的なサロンです。

益田さんは今回も、話したかったことのほとんどが話せなかったと言っていましたので、きっとまた続きのサロンがあるでしょう。
それを楽しみにしたいと思います。

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