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2021/04/28

■湯島サロン「ADR法の現在〜忍び寄る茶色の世界〜」報告

今回の話題提供者の濱中さんは、母親の自動車事故被害を契機に、損害保険による交通事故補償制度や民事裁判制度、さらには紛争解決のためのADR制度(裁判外紛争解決制度)の運用実態に触れ、日本社会に忍び寄る「茶色の世界」を実感しました。
そして、「知ってしまった者の責任」として、人生設計を変えてまで、私財を投じて、そうした実状を多くの人に知ってもらいたいと、孤立無援で行動を起こしたのです。
今回のサロンでは、そうしたことの経緯とそこからわかってきた「世にも恐ろしい実態」、そしてそうした状況に対して濱中さんが取り組みだした活動について話をしてくれました。

交通事故処理や日本の訴訟制度に関して、納得できない経験をお持ちの方も多いようで、今回の参加者のなかにも、憤りや問題意識を持つ人も少なくありませんでした。自分にもつながっている問題として、いつも以上に真剣な議論になりました。

濱中さんの主張の内容は、当日配布された濱中さんの著書「世にも恐ろしい損保犯罪の話」(アマゾンから購入できます)をお読みいただきたいのですが、単に損保だけの問題ではなく、国民健康保険や司法制度、さらに行政の世界にまでつながっています。
すべてが一色に染められてしまう不条理な「茶色の世界」がじわじわと社会を覆いだしているのです。しかも、それに抗うと社会から抹殺されかねないことさえ起っています。
事実、事故被害者家族の濱中さんまでも、損保会社から訴訟を起こされ、二重の被害者になってしまったのです。そればかりではありません。自動車事故の加害者もまた、損保会社によって被害者に損害額を弁償してもらえない被害者になってしまったのです。

濱中さんのお話は紹介しきれませんので、ぜひ知りたいという方はご連絡ください。
当日の記録を動画でご覧いただけるようにします。

濱中さんは、今回の体験で、「官の正義」と「民の正義」の違いを思い知らされたと言います。官の正義は公権力として国民に強制されますが、民の正義は公権力が定める法令を遵守することとされています。ところがその法令は公権力にとって都合よく運営できるような仕組みになっていて、しかもその解釈もまた官の正義によって行われている。そう思いたくなるような実態があるのです。

どうしたらいいか。濱中さんはいくつかの具体的な課題を整理し、それに取り組みだしています。いずれもとても具体的な活動ですが、孤軍奮闘の濱中さんには応援が必要です。濱中さんと同じような苦い体験をした人、している人も少なくないでしょう。何とかしてそうした人たちのつながりをつくっていけないか。

そのための柱になるものを濱中さんは見つけました。
それは憲法16条にも規定されている「請願権の活用」です。
濱中さんは「おかしいことはおかしいと声をあげられる社会」にしていきたいと考えています。そのためにも、憲法に保障されている請願制度を定着させるための「みんなの請願支援センター」を設立しようとしています。

請願権は現在も制度としてはありますが、実際には請願が実を結ぶのは極めて困難です。しかしそれでは制度の意味がない、いや、請願権を憲法で保障している意味がない。
そこで、公権力による制度ではなく、主権者である私たちみんなが中心になって「みんなの請願支援センター」をつくろうという呼びかけを濱中さんは始めたのです。
まだホームページはできていませんが、賛同してくれ人を求めています。

これだけではなかなか濱中さんの思いや呼びかけの趣旨をお伝えできないかもしれません。それで改めて濱中さんにお願いして、「みんなの請願支援センター」説明会を開催させていただこうと思っています。

なお、サロンでは3.11原発事故の被害者救済もまた、ADRが加害者の東京電力を守るように機能させられていることも紹介されました。
茶色がおおうかつてのような社会になることを避けるためにも、私たちは、官の正義に関してもっと関心を払わなければいけません。
これを契機にまた「茶色の朝」シリーズのサロンをしっかりと開催したいと思い直しました。

「みんなの請願支援センター」設立に一緒に取り組みたいという方がいたらぜひご連絡ください。

おかしいと思ったら動き出す。
批判は、行動が伴って初めて意味をもつ。
今回改めて濱中さんから学ばせてもらったことです。

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