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2021/05/11

■湯島サロン「「コロナ禍の」ポップな「シュウキョウ」/スピリチュアリティとレリジョン」報告

コロナ感染の広がりや「緊急事態宣言」状況の中で、多くの人がなんとはなしの漠然とした「不安」におそわれているいま、改めて「宗教」のことを素直に考えてみたらどうかという思いで始めた「宗教」テーマサロンの第1回目は、宗教にも通じていて、自らの信仰も実践している荒金さんにお願いしました。
サロンは、なぜ「ポップなシュウキョウ」なのかの話から始まりました。

「シュウキョウ」とあえてカタカナ表記にしたのは、制度宗教・教団宗教的な枠組みから離れて、個人にとっての「宗教」をテーマにしたかったからだそうです。たしかに、「宗教」というとほとんどの人は教団宗教を思い出して、制度論になってしまいがちです。私の友人の中には、宗教を「おおもと(宗)の教え」と捉えて拒否感を持っている人もいます。
「ポップな」と形容詞を加えたのは、そこに「民衆の・私の」という視点を強調したかったからだそうです。人々を支配したり秩序を維持したりする宗教を語るのではなく、個人の生き方を視点において考えたいということでしょうか。
さらに、副題に「スピリチュアリティとレリジョン」と付け加えているほどの念の深さに、荒金さんの生々しい問題意識とメッセージが現れています。

参加者の中には、強烈な「宗教嫌い」を表明する人、その「宗教嫌い」を理解できないと言う人、最近出家した人、僧侶なのに今の制度宗教に辛辣な意見を持っている人、宗教などはあまり意識しないけれど毎年サンチャゴなどの「巡礼行為」を行っている人、ちょっと霊的な体験もある人、などなどいろいろな人がいました。
そこからも推測されるように、話し合いはかなりハードな異論のぶつけ合いになりました。「神とは何か」という話から、科学と宗教、介護と医療、宗教と戦争、アニミズムと一神教、さらにはイタリアの哲学者アガンベンの話まで出てきてしまいましたが、結論的に言えば、みんな結局は人智の及ばないことへの畏れの念をもっていて、みんな「信心深い」というのが、私の主観的な(勝手な)感想です。
この結論には異議ありという人も多いでしょうが。

話し合いの展開は、荒金さんの意図通りにはならなかったかもしれませんが、示唆に富む話し合いが行われた刺激的なサロンでした。それだけに報告が難しいです。

一昔前ですが、宇宙飛行士が引退後、宗教関係の活動に入ったことがよく話題になりました。生き方を一変させた人もいますし、心霊科学教会を立ち上げた人もいます。地球外体験という、異質な世界と触れ合うことで、なにかが生まれたのかもしれません。
私は、それが宗教の一つの起源ではないかと思っています。
しかし、それを「宗教」といっていいのかどうか、むしろ「信仰」というべきではないか、では「宗教」と「信仰」とはどう違うのか。それはあまり議論にはなりませんでしたが、今回のサロンの底流にあったテーマだったと思います。

もう一つ、副題にあるピリチュアリティとレリジョンもあまり言及されませんでした。
荒金さんはサロン終了後、やはり「宗教」という語の持つ制度性や権力から脱却できなかった。スピリチュアルなものへの言及がもっとあると思っていたのに、と感想をくれました。たしかに、そこまでいかなかったのですが、だからこそ逆にそういう問題が、日本では「宗教」という言葉にはあまり含意されていなことが浮き彫りにされたようにも思います。

私自身はたくさんの示唆をいただきました。
サロン終了後、「嘘(方便)と宗教」の話を電話でしてきてくれた参加者がいます。
それを発展させれば「嘘と真実」の話になっていくでしょう。
その先には「科学と宗教は同じもの」という見解もあるかもしれません。
事実、最近では「科学が宗教になった」という人もいます。
まあそれぞれ言葉の意味や使い方は違うので、あまり一緒くたに議論するのは危険ですが、なにか大きなテーマにたどりつきそうな気もします。

そういう意味では、山森さんが連続してやってくださっている先端技術の動向のサロン、たとえば前回のポスト・ヒューマニズムの話につながっていくような気がします。
そこに「もう一つのポスト・ヒューマン」をイメージすることもできます。

体験したことのない世界に触れると人の意識は変わっていく。
新型コロナウイルスとの遭遇は、「未知との遭遇」とは言えないかもしれませんが、人智を超えたなにかが、そこにあるような気がしてなりません。実際には、人智の中に収めようという動きが強いですが、私はそれになじめません。

29日に神道のサロンをやりますが、その後も、宗教と信仰の話題のサロンを継続させたいと思っています。
どなたか話題提供、問題提起などしたいという人がいたら気楽にご連絡ください。
サロンですので、気楽な問題提起で大丈夫です。
「ポップなシュウキョウ」について、話し合い考え合うサロンが継続できればうれしいです。

Aragane2021

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