■いよいよパンとサーカスの時代
思ってもいなかったのですが、オリンピックが開催されそうです。
開催されることはないだろうと思っていた私にとっては驚きですが、冷静に考えれば、こういう時期であればこそ開催しなければいけないのでしょう。
ノーム・チョムスキーがあるインタビュー(2002年)で応えていた「観戦型スポーツの役割」を思い出しました。そこで彼はこう応えています。
本当に重要なことに関係しないように、人々を遠ざけるのが「観るスポーツ」の役割なのです。
彼は高校時代、自校のフットボールチームが勝った時の興奮を思い出して、こうも言います。
「観るスポーツ」が持つもう一つの効用は、「ショービニスム(好戦的盲目的愛国主義)」を築き上げる素晴らしい方法になることです。このような完全に非理性的な忠誠心を、まだ小さい頃から育て上げ、それを見事に他の分野に移行させるのです。
共同体に対する非理性的忠誠心というこの感覚は、権力ヘの従属訓練、すなわち「ショービニスム」のための訓練なのです。それらは「観るスポーツ」によって、強調され、誇張され、引き出されます。非理性的競争、権力機構に対する非理性的忠誠、極めて恐ろしい価値観への受動的黙認などが、実際に「観るスポーツ」によって、強調され、誇張され、引き出されます。権威主義的態度に対して、実際、これ以上に根本から貢献するものを想像するのは困難です。
そしてこう付け加えています。
私が思うに、「観るスポーツ」が、権力をもった巨大な組織・協会によって実際これ ほどまでに支えられているもう一つの理由がここにあるのです。
さらにこうも言っています。
大半のテレビ番組の役割は一般的な人々を本当に重要なことから関心をそらすことなのです。
そういえば、最近のテレビ番組は「食」の話が多いです。
まさにローマ時代の「パンとサーカス」を思い出します。
もはやそこまで行ってしまったとしたら、この先の成り行きは明白かもしれません。
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