■湯島サロン「お金のない社会って想像できますか」報告
「お金のない社会って想像できますか」サロンは9人の集まりになりました。
立場や関心もさまざまな人の集まりなので、話題は多岐にわたりました。
実際に、現在の貨幣とは考え方の違う「自由通貨」に取り組んでいる人もいました。
お金に呪縛されない、新しい経済に実践的に取り組もうとしている20代の若者もいました。
お金よりも信頼や支え合いを大事にしているアーミッシュ・コミュニティに関心のある人もいました。
わらしべ長者の資料を持ってきてくれた人もいました。
岩井克人さんの貨幣論や共同幻想論に詳しい人もいました。
細胞で成り立っている人間を社会としたら、そこで「貨幣」的な役割を果たしているのは何だろうと考えている人もいました。
ITに詳しく、仮想通貨に関しても意見をお持ちの人もいました。
3Dプリンターなどを操作して、限界費用ゼロ社会を実現し、市場資本主義から協働型コモンズへと経済のあり方を変えようという動きもありますが、3Dプリンターを活用してすでにそうした世界に触れているだろう人もいました。
あんまりお金に関心がなくて、お金から自立した生活を長年送っている人もいました。
私も以前、コモンズ通貨という各自が勝手に発行する通貨の(つまりお金から自由な)コミュニティに挑戦したことがあります。
とまあ、これほど多様な人が集まれば、議論はまとまらないのは当然です。
多様な視点からの話し合いが展開しましたが、あまりに論点が移るので、大事な議論が掘り下げられないという意見も何回か出されましたが、それも虚しく、議論は広がる一方でした。なにしろサロンですので。
世界には、お金のない社会をイメージし、提唱している人は何人か言います。
たとえば、もう故人ですが、未来学者のジャック・フレスコさんは、お金は究極の腐敗原因であるとして、お金のない世界の青写真を描いていました。それは簡単に言えば、
地球上の資源を全人類の共有財産と定めた「資源ベース経済」です。
また、一時日本でも話題になった、ポール・メイソンの「ネオ・キャピタリズム」は、製品製造コストがゼロで所有権が弱いという性質を持つ情報基盤の経済を提唱しています。そこにベーシックインカムを持ち込めば、お金に呪縛されずにみんな生きられるでしょう。
日本でも、コモンズの経済学が提唱されています。
また、実際にお金から自由になるコミュニティを目指す動きはこれまでもありました。
日本でもいまもありますが、たとえば今回話題になったアメリカの「アーミッシュ・コミュニティ」もその一つです。お金がないわけではありませんが、基本は人と人との信頼関係と支え合いを基本にコミュニティが成り立っています。そんな話題も少し出ました。
ベーシック・インカムも地域通貨も話題になりました。
恩送りと恩返しの話も出ました。
ともかく話題は途切れることなく、予定より1時間も伸びて、話し合いは広がりました。
考えは多様でしたが、みんな「お金に制約されて生きる社会」ではなく、「お金を活かした自由な社会」を望んでいるという点では一緒のような気がしました。
お金が万能の社会になってきている一方で、そうしたお金に縛られない生き方を、目指す人も増えてきています
そうした時代の岐路の中で、お金との付き合い方を考えてみる時期かもしれません。
それは一人でもできますので。
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