■45歳定年制に賛成
サントリーホールディングスの新浪社長が、「45歳定年制」の導入を提言して大きな波紋を呼んでいます。
大方の意見は、否定的で、そこに経営者の人件費削減の意図を感じているようです。
たしかにそういう意図はあるかもしれませんが、私はこの提案に賛成します。
私は47歳で会社を辞めました。
そこで得たものは、自分の人生を自主的に生きるということです。
会社時代もかなり自由に振る舞ってきたつもりですが、辞めてみて、やはり多くの呪縛の中にいたことを痛感しました。
会社や上司や同僚を口実に、自分を納得させていたことにも気づきました。
もう一つはいかに無駄が多かったかを知らされたことです。
交際費で充当されていた食事は、個人になってからはほとんど味わうことはありません。
無駄だったのはお金だけではありません。時間もかなり無駄遣いしていた気がします。
いろんなパーティにも参加させてもらいましたが、いま考えるとまさにバブルな感じでした。
会社を辞めて、私の生き方は変わりました。
さまざまな意味で「節約」し、無駄を晴らし、納得できないことには加わらないようにしました。
経済面では収支は激減しましたが、物を大事にする生き方は取り戻せました。
高価な食事とは無縁になりましたが、おいしいと思うものは前よりも増えました。
なによりも、自分の思うように生きることで、精神的ストレスはなくなりました。
時々、お金が無くなってその工面に苦労したり、時にはおいしいウナギを食べたいなと思うことはありますが、それもまた生きていることの実感を与えてくれます。
何かが欠けていることは、幸せの条件かもしれません。
長々と余計なことを書いてしまいましたが、私が45歳定年制に賛成なのは、組織に人生を任せて従僕のような存在になってしまうことを前提にしない社会がはじまるからです。
労働には、雇用労働と協同労働があります。
誰かに雇われて働くのと自らが主役になって働くのの違いです。
45歳までは雇用労働として組織で働き、遅くも45歳になったら自立して働く社会。
前者は「お金のための労働」という意味合いがあるとしても、後者は「自分の人生のための労働」という大きな違いが出てくるように思うのです。
そうした「働き方改革」につながる展望を感じるので、45歳定年制に賛成なのです。
そろそろ私たちは、法人中心社会から卒業して、生身の人間の社会に、歴史を一歩、進める時期ではないかと思っています。
言い方を換えれば、近代的進歩の流れを反転させて、のどかな人間の時代に戻ろうという話です。
会社は人間にとっては手段であって、仕えるべき主人ではありません。
舌足らずなので、異論反論をたくさん受けそうですが。
サロンをやってみてもいいかもしれませんが、組織人はあまりサロンに来ないので、話し合いが難しいかもしれません。
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