■「新しい資本主義」「新しい経済」
岸田さんの提起した「新しい資本主義」が話題になってきています。
実現会議も発足しましたが、そのメンバーからも方向性は少し見えてきました。
15人のメンバーで私が知っているのは一人だけで、しかも面識があるだけで親しくはありません。ただし、その人の実践実績は、私のイメージする「新しい経済」の考えには合っています。まあ、今の資本主義の真っただ中にいる人ではありますが。
「新しい資本主義」、さらには「新しい経済」を話題にするサロンも考えていきたいと思っていますが、視点をちょっと変えるだけでも新しい経済への入り口は開けるように思います。その気になれば、いろいろと見えてきます。
たとえば、「成長と分配」という言葉の、どこに起点を置くかでも、経済も資本主義もまったく違ったものになるような気がします。
これまでの経済(資本主義)は、「成長のための経済」でした。
そこでは「分配」もまた「成長」のためでした。
有名な「フォードの5ドルの神話」があります。
自動車会社のフォードが労働者の日給をそれまでの2.5ドルから5ドルに倍増することで、労働生産性が上昇するとともに労働者が自動車の消費者になって市場が急拡大し、その後の成長につながったのです。
しかし、そこでの経済の目標はあくまでも「資本の成長」「経済の成長」であり、生活者の豊かさは目標ではありませんでした。
それに対して、経済を「分配(再配分)のための経済」と捉え直すと、経済の仕組みは一変します。
再配分のためにもし成長が必要であれば、成長がサブ目標になるでしょうが、必要なければ成長は不要になる。というよりも、成長の基準が変わってくるでしょう。言い換えれば、経済の指標が変わるということです。
そこに「新しい資本主義」の入り口が見えてくる。
もちろん、資本主義を超えた「もう一つの経済」という動きもたくさんあります。
私たちは、今の資本主義経済(金銭基準経済)に浸りきっていますが、つい半世紀ほど前までは日本もまだ金銭がそれほど覆っていたわけではありません。
いまではお金がないと都会では暮らしていけませんが、そういう状況になったのは、ついこの50年ほどの話なのです。
お金に呪縛されない若い世代も出て来ているようですから、資本主義を超えた「もう一つの経済」も実現するかもしれません。
そうしたことを視野において、「新しい資本主義」を考えると、いろんな道が見えてくる。
湯島で「新しい経済」を話題にしたサロンを少しやってみようと思います。そろそろ機が熟してきているように思いますので。
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