■監視カメラ映像の管理者はだれなのか
名古屋出入国在留管理局で3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題で、被害者家族の要求や署名運動を受けて、ようやく収容中の監視カメラ映像が全面開示されることになりました。
そんな当然のことが、どうして実施されるまでにこんなに時間がかかるのか、不思議でなりません。この国では、国家政府につながっている人たちは、異常に保護されていることが、こうしたところにも明らかです。
こうした日本の実態がいろんな形で露呈してきたことはいいことだと思いますが、気になることもあります。
これだけ開示までに時間がかかるのであれば、ディープフェイク映像技術による映像の改竄もあるのではないかということです。
むしろそのためにこんなに開示が遅れたのではないかとさえ思ってしまう。
もちろんそんなことはないでしょうが、そういう疑念を持ってしまう。
40年ほど前に、私は非情報化社会論を書いたことがありますが、まさにいまや情報が現実と乖離してしまい、現実がどんどん消去していく不安を感じます。
その一方で、「監視資本主義」(ショシャナ・ズボフ)はますます広がっています。
先日も私たちの自治会で、防犯カメラの増設を話題にしたことがありますが、意外だったのは増設に対してあまりみんな抵抗がないというか、むしろ安心のよりどころにしていることでした。
しかし映像はいかようにも改竄できる時代において、映像を特定の人が独占的に管理できる方式にはどうしても不信感があります。
ちなみに今の私の属する自治会においては、防犯カメラの映像を見ることができるのは、会長である私だけなのです。これを知ってから、自治会での防犯カメラには私は否定的になりました。
名古屋出入国在留管理局で収録しているカメラ映像を管理するのが、入管当局であるとしたら、私にはそれは全く信じられないものに思えます。
誰がその種のカメラの管理するのかがしっかりと議論される必要があるように思います。
誰が誰を、何のために、どういう時間にカメラで記録するのか。
無闇に監視カメラを増やすのではなく、むしろそうした基本的なことをみんなで考えたいものです。
それにしても、サンダマリさんの事件は、私には恐ろしい事件です。
無関心ではいられません。
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