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2022/01/21

■節子への挽歌5273:寄り添ってくれる人がいない人生ではない

節子

精神障害の支援にまつわる活動はとても難しいです。
実際にやってみるとわかりますが、よかれと思ったことが逆効果だったり、相手の障害の状況が変わると関係も一変してしまうこともあったりするからです。

引きこもり家族の支援にも関わっている友人がいます。
あまり書くと誰かわかってしまいかねないのですが、彼はテレビでも取り上げられたこともある、とても誠実な、親身になっての活動をしてきています。
そのため、時に自らもひどいメンタルダウンを起こし、当事者以上に危険な状況になることがあります。私もそれに似た体験は何回かしていますので、よくわかりますが、相手のメンタルストレスを過剰に引き受けてしまうのです。
相手は、おそらくそれに気づかないですし、それは相手にとっても必ずしもいいことではありません。でもそういう理性を超えてしまった、はまり込んでしまうのです。

行政はもちろんですが、対価を得てそうした活動をしている人や支援活動をしている組織に属している人は、そういうことを避けなければ、活動を維持していけなくなる恐れがあります。
言い換えれば、障害者支援をビジネス(事業)にしてしまうと、マニュアルにしたがった福祉活動に陥ってしまいますが、そこにはいわゆる「産業のジレンマ」が発生してしまうのです。このあたりは以前、時評編やホームページなどに書いていますが、私の生き方の根底にある大きなテーマなのです。

横道にそれてしまいましたが、その人が最近、2つの問題に直面し、身の振り方も含めて大きく悩んでいるようです。
私も2回ほど、彼に会って話を聞きましたが、いささか気になる状況です。私ならいずれの問題への対応策は明確ですが、彼のやさしさから決断ができずにいました。
いずれの問題も、仲間に話して、仲間と一緒に辞任すれば、相手も自らの不条理や身勝手さに気づくはずですが、仲間を道連れにしないというのも彼のやさしさでしょう。
これも私の体験に重なりますが、不条理な相手に処するにはそうしたいと思いながらも、道連れにしてしまうことに躊躇するのもよくわかります。

私も気になって、この数日は、彼のことが頭から離れません。
それでメールを時々していたのですが、めずらしくいつもは返信があまりないのにこの数日は毎回返信があります。彼が悩んでいるのが伝わってきました。
このままでは心配なので、踏み込んでのアドバイスをしてしまいました。
しかし、それもまた気になって、追伸追伸とメールを送ってしまった。

3日ほどたって、彼は決断しました。
そうなると、今度は私自身の責任を改めて実感し、私自身もまた彼のように悩みだしてしまった。アドバイスした以上、リスクもシェアしなければいけません。
それを知ってか、彼から夜、電話がありました。
私は、夜は電話に出ないのですが、今回だけは出てしまいました。

話して、お互いに少し心が静まった。
電話の最後に彼が、こういいました。
「寄り添う」ということの意味がわかった、と。

彼は「寄り添いネット」という構想を持っていて、実際にそれに取り組んでいます。ちなみにこの「寄り添いネット」は、たぶん私の言葉がヒントになっているはずです。私も一時、「寄り添いサロン」を構想したことがあるのです。
しかし、その後、私は「寄り添う」という言葉の難しさがわかってきた。

最近もある人から、佐藤さんにはもっと寄り添ってほしいと言われたことがあります。
私は、即座に「他者に寄り添うことなど私にはできない」と答えました。
福祉関係者はよく「寄り添う」という言葉を使いますが、そんなに簡単に寄り添うことなどできないことを身をもって実感してきていますから、いまの私は誰かに寄り添うなどとはそう簡単には言えません。

でも結果的に、誰かから「寄り添ってもらえて安心でした」と言ってもらえることは、うれしいものです。
もちろん今回は、とても寄り添ったなどとは言えないのですが、いま寄り添っている人がいると少しでも相手の人が思えてくれたのならば、それでいい。それに気づかせてもらいました。

寄り添ってくれている人がいなくなってから、もう15年近くたちます。
でも、人生すべてには寄り添えなくても、寄り添ってくれている人はたくさんいる。
そんなことにも少し気づかせてもらった1週間でした。

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