■「新しい経済」に向けての2冊の本をお薦めします
週末に雨が降ってどろどろの畑には行けなかったので、晴耕雨読ではありませんが、週明けの2日間、読書に埋没し、2冊の本を読了しました。
偶然選んで、並行して読んだのですが、深くかかわっている2冊でした。
一冊は、スペインやポルトガルで活動している4人の経済学者が書いた「なぜ、脱成長なのか」(NHK出版)、もう一冊はアダム・スミスの評伝「アダム・スミス 共感の経済学」(早川書房)です。
いずれも今の経済の問題をわかりやすく指摘し、それにどう向かうかを示唆しています。
「なぜ、脱成長なのか」には、コモンズをつくり、維持し、享受していくプロセスを意味する「コモニング」という言葉を登場させています。
これは私の長年のテーマである「コモンズの共創」につながっていますので、とても共感できます。著者たちも関わっているであろうバルセロナの事例も元気が出ます。
「アダム・スミス 共感の経済学」は、「共感」を通じた人間への深い理解を中心にした「人間の科学」という捉え方から、「経済学」を根本から捉え直そうと呼びかけています。フェミニスト経済学の視点は、私が今湯島で始めた「生活事業研究会」につながるものを感じます。
私のアダム・スミス理解はまだまだ狭かった気がします。「道徳感情論」も一応は読んではいるのですが、経済学者だという思い込みが強すぎました。
同書の最後の部分を引用させてもらいます。
この偉大な業績の価値を正しく評価した人はまだいない。過激思想や誤った事実認識が渦巻き未来の見えない今日の世界にあって、スミスの知恵と思想は、その合意まで含めていまなお有効だ。私たちは過去のどの時代にも増してアダム・スミスを必要としている。
本書を読み終えて、その意味がよくわかります。「新しい資本主義」が議論されていますが、委員のみなさんにはぜひ読んでほしいものです。
いつものように、2冊を並行して読んだのですが(一方に疲れると他方を読む感じで)、今回は偶然にも同じテーマにつながっていました。いずれも「新しい経済」「新しい生き方」を示唆するものでした。
この本はお薦めです。
友人が私が6年前に書いたフェイスブック記事を思い出して、なぜか昨日、シェアしてくれました。
それを読んでなんだかうれしくなって、2冊の本を紹介してしまいました。
前者は軽い本なのですぐ読めるでしょうが、後者は少しハードです。
でもいずれも多くの人に読んでほしい本です。
6年前の記事も改めてシェアさせてもらいます。
https://www.facebook.com/notes/355354392247074/
斉藤さん、思い出させてくれてありがとうございます。
しかし何というシンクロニシティでしょうか。
| 固定リンク
「経済時評」カテゴリの記事
- ■政治とお金の問題の立て方(2024.02.02)
- ■デヴィッド・ハーヴェイの『反資本主義』をお薦めします(2024.01.18)
- ■一条真也さんの「資本主義の次に来る世界」紹介(2023.12.14)
- ■資本主義社会の次の社会(2023.10.10)
- ■「資本主義の次に来る世界」(2023.07.24)
「企業時評」カテゴリの記事
- ■がん民間療法体験26:天日塩の入った味噌(2023.10.16)
- ■『働きがいのある会社とは何か 「働きがい理論」の発見』をお勧めします(2022.11.18)
- ■20年ぶりにかっぱ寿司に行きました(2022.10.04)
- ■原発事故の損害賠償を受ける覚悟があるのでしょうか(2022.07.13)
- ■「新しい経済」に向けての2冊の本をお薦めします(2022.05.18)
コメント