■第4回本間神道サロン「日本の聖母信仰 全ての女神が聖母である?」報告
本間浩さんの聖母信仰サロンも4回目になりました。
今回は、「すべての女神が聖母である?」という大きな問いかけのもとに、記紀の語るアマテラスは聖母なのか、「大祓詞」に登場する罪汚れを大海原に持ち出すとされる瀬織津姫は聖母なのか、が、いろいろなエピソードや関連した話などに言及しながら、紹介されました。
また、これ以外にも、これまでのサロンで出た参加者の質問も解説してくれました。
話の内容は、いずれも興味深いもので、太陽神やうつぼ船神話、処女懐胎や異常出産の意味など、それだけでも1回のサロンのテーマにして改めてじっくりと聴きたい話題が多かったのですが、本間さんはレジメも作ってきてくださったので、そうした膨大な話も何とかついていけました。それにしても奥が深い。
しかし理解すると、さらにまた疑問が出て来て、関心はどんどん広がってしまいます。
本間さんは、「聖母は罪を引き受けて許してくれる存在」だと説明してくれました。
これはとてもわかりやすいというか、納得できます。
何をもって「罪」とするかなど、ここでは問題になりません。
ややこしい条件を付けての引き受けではなく、無条件ですべてを引き受けるというところにこそ「聖」の意味があるのでしょう。すべてを清浄にしてくれる存在こそが聖母信仰。もしそうならこれほど大きな勇気を与えてくれるものはないでしょう。
私はやっと聖母信仰の意味がわかった気がします。
まあいつものように「早とちり」かもしれませんが。
でも、すべてを引き受けてくれる存在が、なぜ「母」「女性」なのか。
そこに何か大きな意味というか、信仰の本質があるような気がしてなりません。
本間さんは「すべての女神は聖母」だと説明されましたが、それは言い換えれば、「すべての聖母が女神であるわけではない」、つまり「女神」ではない「聖母」がいるということです。では、「女神ではない聖母」とは何だろうか。もしかしたら、その一人は「魔女」でしょうか。問いは広がります。
本間さんからは、そういう「数学的」な問いかけは、神道をかたる時にはふさわしくないとやんわりと言われたような気もしますが、どうも気になります。
また本間さんは、「始原(大元)にある聖なる存在」から「聖母」が生まれ、そこから「女神」が生まれた、と(たしか)言われました。
聖女・聖母・魔女がいて、聖男・聖父・魔男がいないのはなぜか、という問いも本間さんは取り上げてくれましたが、そこで性を超えたところにあるのが「聖(ひじり)」だと教えてくれました。となると、「聖」から「聖母」が生まれ、そこから「女神」が生まれたということになります。つまり女系の流れです。
では男系の流れはどう展開したのか。なぜ女系中心だったのか、次々と問いかけたくなります。
「大元にある聖なる存在」にはむしろ男性のイメージを感じます。アブラハム系の宗教の神は男性なのでしょうか女性なのでしょうか。キリスト教では「父なる神」という言葉ありますので、男性でしょうか。
それに、世界各地で最高神と言われる太陽神も男性のイメージです。
そもそも「聖」とは何なのか、いや、「神」とは何なのか。
ちなみに、ギリシャ神話では、はじまりはガイアと呼ばれる大地の女神ですし、ローマ神話では、神々は豊穣な実りを産む自然と結びつけられており、そのほとんど全部が女性だったようです。
人類の物語は女性から始まった。でも最高神のイメージはむしろ男性。
この矛盾(役割分担)をどう理解すればいいか。
これに関連して、そもそも性別を超えたところに「聖」はあるという話もありました。参加者からは「陰陽」の話も出ました。
本間さんも、話のなかで、和魂と荒魂の話を出されました。伊勢神道などでは、瀬織津姫はアマテラスの荒魂とされていることも教えてくれました。
このあたりはもう少しお話を聞きたかったところです。
処女懐胎や異常出産が「聖なる者」を生み出すことに関しては、とてもわかりやすい説明で納得できました。
要は過去を清算し、新しい物語を始めるためなのでしょうか。おそらくさまざまな流譚の物語も同じでしょう。つまり、過去はいくらでも創り出せるというわけです。
これも大きな示唆を与えてくれます。
やはり「信仰」は人生を元気にしてくれます。
まだまだたくさんの興味深い話がありましたが、長くなるのでやめます。
聖や聖性について、さらに詳しく知りたいと思いました。
そこにこそ、私たちの生き方の根本があるような気がします。
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