■「論語と冠婚葬祭 儒教と日本人」の紹介
個人がばらばらになりがちな最近、あらためて家族や仲間について考えています。
そんな時、一条真也さんが新著を送ってきてくれました。
現代書林から出版された「論語と冠婚葬祭 儒教と日本人」。儒教研究者加地伸行さんとの対談をまとめたものです。
一条さんは、冠婚葬祭の会社の社長ですが、その博識ぶりは加地さんも認めるように、中途半端なものではありません。私が知る限り、読書も行動も、けた外れの人です。
一条さんは新著を書くと必ず私にも送ってくださいます。教えられることがいつもたくさんあります。今回もいろいろな気付きを与えてくれました。
儒教などというといかにも古い話に感ずるかもしれません。
しかし本書を読むとわかってもらえると思いますが、私たちの生活を大きく支えてきたのは儒教の精神だったような気がします。それがいま、崩れだしているような気がします。それは社会の混乱につながりかねません。そんな不安が私にはあります。
儒教の中心には、孔子の「論語」があります。
最近、渋沢栄一の「論語と算盤」が改めて読まれているようですが、一条さんは本書は、「論語と算盤」の副読本として読んでもらってもいいと言っています。
私が子どものころ読んだ本に、下村個人の「論語物語」があります。
この本は私の生き方に大きな影響を与えました。
私の生き方は論語とは真反対のような気もしますが、それでもどこかで論語の影響は否定できません。そこには生き方の基本があったように思います。
冠婚葬祭も、いまでは簡略化の傾向がありますが、逆に今こそ、その意味を問い直していくことが大切ではないかと、一条さんは考えています。私も共感します。
そういう意味で、一条さんの活動は長年ずっと関心を持っていました。
一条さんには「儀式論」という大著もあります。これは「人間とは何か」を考えさせられる本です。これもよかったら読んでみてください。
http://cws.c.ooco.jp/books.htm#161211
儒教といえば、すぐ思い出すのは、「仁義」や「忠孝」ですが、これに関してもわかりやすく説明されています。
たとえば、「孝」というと、多くの人は「親に対する絶対的服従の道徳」と思いがちですが、そうではないと言います。死んでも、なつかしいこの世に再び帰ってくることができるという「招魂再生」の死生観と結びついて生まれてきた観念が「孝行」だと言うのです。そこにあるのは「生命の連続」の概念によって、死への不安を「生」への安心へと導くと言います。私にはとてもよくわかります。
では「仁」とはなにか、「礼とはなにか」と、次々の儒教の精神が、日本人の生活とつなげられながら、説明されていくのです。
対話形式なので、とても読みやすい本です。
ぜひ多くの人に読んでもらい、生き方をちょっと考え直すきっかけにしてもらえればと思います。それだけでも社会は変わっていくでしょう。
ちなみに一条さんは、本書に続いて、「仏教と日本人」「神道と日本人」を出版していくそうです。これもまた楽しみです。
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