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2022/07/13

■原発事故の損害賠償を受ける覚悟があるのでしょうか

福島原発事故の経営責任を問う株主代表訴訟で、東京地裁は旧経営陣5人のうち4人に対して、13兆円の損害賠償を命じました。先日の国家責任を否定する最高裁判決が出たこともあって、いささかの不安がありましたが、ちょっと安堵しました。
おそらく最高裁では判決は反転するでしょうが、これからの経営者の行動に大きな影響を与えると思うからです。少なくとも、経営者の責任に関する議論が深まることは間違いありません。

 昨日、湯島で「原爆と原発」を話題にするサロンを開いていました。その報告はまた改めて書きますが、原発について私たちはあまりにも知らなすぎるように思います。しかし、原発の危険性に関しては、それこそ当初から言われていたことであり、事業を導入する経営者であれば、知らないとか想定外などと言えるような話ではありません。正常な感覚を持っていれば、とても恐ろしくて原発事業に取り組もうなどとは思わないでしょう。それが可能になったのは、それこそ「産軍複合体」ではありませんが、一企業を超えた大きな経済政治複合体で、責任を消し去る仕組みをつくったおかげではなかったのかと思います。

そこまで言うと話が大きくなりすぎますが、法人制度の持つ危険性や経営者を引き受ける意味が明確になったということだけでもよかったと思います。
私も以前は、会社組織とは個人が大きなリスクに立ち向かうすばらしい仕組みだと思っていました。しかし、20年ほど前から少し考えが変わりだしました。
会社組織とは、個人のリスクを回避させることにより、無責任な思考(人間)を育てる仕組みなのではないかと思うようになったのです。

原発事業は損害保険を引き受ける保険会社がないほどのリスクの大きい事業なのです。
そんな事業をよくまあ引き受ける経営者がいるものだと、私はずっと思っていました。
おそらく東電の経営者は、原発の現場をしっかりとは見ていないでしょう。
そこで従業員がどんな仕事をしているか。

いや知らないのは東電の経営者だけではありません。
多くの日本人は知らないようです。
原発再稼働の動きが高まっていますが、それを支持する人たちは、万一の時に個人的に損害賠償に応じる覚悟があるのでしょうか。

この判決は、私たちすべての国民に、そういう問いかけをしているように、私には思います。
話が少しずれてしまいました。書いているうちにだんだん悲しくなってきてしまったためです。
困ったものです。

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