■第17回益田サロン「人間が行う3つの破壊」報告
今回の益田サロンのテーマは「生物と環境に関連して人間が行う3つの破壊」でした。
案内文で益田さんがとてもわかりやすく解説してくれていましたので、それを再録します。
環境あっての生物という原則からは生物は環境を破壊しないはずです。しかし人間はいろいろな理由で自然環境を破壊したり、食欲に起因する過食や運動不足で糖尿病になり身体を破壊したり、日ごろ頼りにしている理性が破壊されて自殺をしたりします。
このように環境あっての生物という原則を破るよう見えても、よく見てみるとこの原則は破られていないようです。それは生物の立場が一転して環境となるような事態が生じているからと考えられます。
典型的なものは心中の賊と言われているものです。体を環境としている心を環境とする、仮に欲と呼ばれる生物のようなものが現れます。この欲は山中の賊と違って対策が立てにくいことは古人が嘆いていることです。
欲の中には名誉欲とか金銭欲のようなほかの生物に起源を見出せないようなものありますが、この欲を環境とする生物のようなものが自殺を行わせるのではないかと思います。
サロンでは、益田モデルの同心円を使ってこれをわかりやすく話してくれました。
同心円モデルでは、隣接する同心円の外側Bが内側Aにとっての「環境」になりますが、その一つ外側の同心円Cの世界は「環境」とは認識されないために、そこへの影響は視野から外れるというわけです。
しかし、そうはいっても、BにとってはCは環境ですから、それが破壊されればBが壊れ、回り回ってAも壊れかねません。
「環境あっての生物」という時の「環境」をどう捉えるかという問題ですが、同時にそれは、環境と生物をどう捉えるかという問題にもつながります。
また同心円の中心は、新たな中心を生み出してきています。それが「欲」であり、「名誉欲」「金銭欲」と言ったような「欲中欲」です。同心円は内にも外にも、広がっているのです。
私は、「環境あっての生物」と同じ意味で、「生物あっての環境」であり、それらは難しい言葉を使えば、ホロニックな関係にあるように思います。生物の中に環境が凝縮されていると言ってもいいでしょうし、環境の中に生物が遍在していると言ってもいいかもしれません。そして、それは生物と環境が対称的に交換し合っている存在のように思います。ですから同心円は内にも外にも広がるわけです。
益田さんは、心を環境とする、仮に欲と呼ばれる「生物のようなもの」が現れ、それが心にとっての環境(体)を壊してしまうことがあると言いますが、同じように、心の周辺に、「環境のようなもの」が覆いだして、環境を見えなくしてしまうと言えるかもしれません。そのために、「生物のようなもの」が生み出されてしまう。
益田さんは、この同心円モデルで、「生物のようなもの」を想定し、そこから考えることによって、自然破壊や健康障害、さらには自殺の問題を考えていくと、これまでとは違った対策が見えてくるのではないかと考えているようです。
たしかにそうだと思います。
私自身は、同時に、そうしたものは何によって生み出されるかに関心を持ちました。もしかしたら、それは「環境」によって生み出されているのではないか。
環境こそが、欲や欲中欲を生み出しているのではないか。
どちらから考えるかで、問題は姿を変えてしまうかもしれません。
もちろんおそらく方向は一方向ではないでしょう。となると、平面図では捉えにくくなります。同時に、中心におく「欲」も多用なので、この同心円モデルでは見えにくくなるものが増えてくるように思います。
そんな議論をしていたら、話がややこしくなり過ぎて、参加者からもう一度、原点に戻って益田モデルをきちんと考えようという提案がありました。
そもそも出発点は、ジフテリア菌や糖尿病から始まった話なのです。
そんなわけで、次回は改めて原点に戻り、益田細菌学による「生物と環境」をテーマにした講座型のサロンにすることになりました。
これまで参加したこともない人も含めて、ぜひ、次回(9月前半を予定しています)、多くの人に参加していただきたいと思います。
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