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2022/09/30

■茶色の朝サロン「政治を我が事と考える」報告

久しぶりの「茶色の朝」サロンは、あえて国民を分断して行われた「国葬」の日に開催。テーマも決め、「政治を我が事とするような意識」としました。
私もいれて8人が参加しました。

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「政治上の民主主義を実現するには、各個人が政治に参与することが、不可欠の要件である。たいせつな政治を、人任せでなく、自分たちの仕事として行うという気持こそ、民主国家の国民の第一の心構えでなければならない」。

これは、敗戦直後に全国の高校で使われた文部省教科書「民主主義」に出てくる言葉です。教科書には続けてこう書かれています。

「政治を人任せにしておいてよいものだろうか。国民の知らないうちに政治家たちによって戦争が計画され、夫やむすこを戦場に奪い去られ、あげくの果ては、家を焼かれ、財産を失い、食べるものにも窮するような悲惨な境遇におとしいれられたのは、ついこの間のことではなかったか」。

この教科書は1948年から1953年まで使われましたが、それは同時に時代の風潮でもあったようです。この教科書がその後も使われていたら、日本の政治は大きく変わっていたように思います。

その教科書にはこんな記述もあります。

「日本人の間には、封建時代からのしきたりで、政治は自分たちの仕事ではないという考えがいまだに残っている。(中略)わが国の政治家も、長い間そういう態度を採って来たために、国民は、自分たちは政治をされる立場にあるのであって、ほんとうに自分たちで「政治をする」という考えにはなかなかなれない」。

この教科書は、そういう日本人の「お上に従う臣民意識」を変えようというものでした。ちなみに、中学生向けにも同じような姿勢の民主主義の副読本がつくられていました。

しかし、なぜか日本政府の姿勢はその後反転し、「由らしむべし、知らしむべからず」という政治状況が広がっています。その結果、最近では「食べるものにも窮するような悲惨な境遇」に置かれる人も増えているようにさえ思います。
案内文に書きましたが、改めて「政治を我が事とする意識」を広げていかないと、またかつての二の舞になりかねません。

長々と余計なことを書いてしまいました、サロンに集まったみなさんもそういう危機感をお持ちのような気がします。

話し合いでは様々なことが話題になりました。
多数決と熟議、政府と個人をつなぐ中間組織(NPOや町内会)、ファシズムとは何か、我が事として考えられる政治とは、……。

政治の話はみんな避けている、という風潮の一方で、自分が動けば変わるようなことには積極的にかかわる人も多いという話も出ました。
問題は、働きかけても変わらないと思う対象が広がってきていることかもしれません。
国の政府は、その最たるものかもしれません。
ただその一方で、自分の身の回りに事に関しては、おかしなことがあればおかしいと言い働きかける人たちは少なくないようです。時にそれがクレーマーになることもあるのでしょうが。

家の近くの道路の工事に周辺住民が意見をいう機会があるとか、自分の住んでいる地域の市(区)役所には働きかけることが可能だとかいう話も出ましたが、政治を我が事と考えるとは、そうした身近な問題に関心を持って関わっていくことだろうと参加者の方が確認してくれました。

そういえば、先の教科書にもこんなくだりがあります。

「政治は国の政治だけとは限らない。もっと狭い、もっと手近なところにも政治がある。町にも政治があり、村にも政治がある。国民は、同時に市民であり、町民であり、村民である。国の政治はむずかしくてわからない場合でも、町の政治や村の政治ならば、だれにもわかりやすい。それを「自分たちの仕事」と考えるのが、民主政治の第一歩である」。

参加者の一人は、今度自分のところの区長が変わり、住民との話し合いを重視しているので、ぜひ区長を応援する活動をしたいと宣言しました。
住民がその気になれば、できることはたくさんあるでしょう。そしてそこから国の政治も変わっていくかもしれません。

「働きかけても変わらないと思わせる範囲」を拡げる風潮に抗って、「働きかければ変わる」のだという意識を広げていくとともに、「政治」と個々人の生活との関係を見えるようにしていくことが大切だなと改めて思いました。

他にもいろいろな話題が出ましたが、こういう場をやはり続けていくことが大事かもしれません。茶色の朝サロンは、不定期ですが、再開します。
できれば自分の住んでいるところで、それぞれがこういう話し合いの場を始めてほしいと思っています。

 

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