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2022/10/04

■湯島サロン「企業で働くということ」報告

「働くこと」というテーマでのサロンは、前にも開催しましたが、今回は数か月前まで会社で働き、いまは退社し、次の仕事探している40代前半の横山さんに、ご自身の「働いていた時の体験」や「仕事観」などをお話しいただきました。

横山さんは、入社した日の「カルチャーショック」的な驚きから話を始めてくれました。と言っても、そもそも会社に入るまで、会社の「文化」など知らずにいる若者がほとんどですから、カルチャーショックというのもおかしいですが、学校時代の世界とは違った世界だということ、そしてそれに新入社員はすぐになじむのだということに驚いたと言います。

横山さんは学校の卒業式の関係で、みんなよりも2日ほど遅れて、新入社員教育に参加したそうですが、横山さんが参加したその日にはすでに初日から参加していた人たちは、その会社の社歌を覚えて歌ったのだそうです。横山さんがみんなと同じように最初から参加していたら、そういう驚きは持たなかったかもしれません。

それにつづいて、入社1か月間の話を話してくれました。会社は、たぶん新入社員に早く会社になれてもらうためにと、社員旅行やイベントなどいろいろと考えてくれたのでしょうが、横山さんにとっては、3日しか休めなかったという思いだったようです。特に新入社員教育に組み込まれていた自衛隊での合宿研修は強烈だったようです。

それから20年間、かなりハードな状況で働き続け、管理職になるのですが、あまりにハードな仕事のために体調を崩し、自ら辞めることにしたそうです。
体調を崩すほどのハードな働き方とはどんなものだったかを、横山さんは具体的にいろいろと話してくれました。社会に知れたら問題になるようなこともあったでしょう。
しかし、ほかの会社のことを知らない新入社員たちの多くは、会社で働くとはこんなものなのかと思うのでしょう。最近では転職も増えてきましたし、マスコミやネットでの情報も多いので、自分の会社の労働条件を相対化できますが、横山さんの入社した20年前は、いまほどではなかったでしょう。それに仕事は忙しく拘束時間も長いので、そんなことを考える余裕はなかったのかもしれません。

入社後1か月の話に続いて、横山さんは、その後の20年の働きぶりも話してくれました。目標を達成しなければいけないというプレッシャー、上司によって職場の雰囲気も働きやすさも変わってくること、年功序列と終身雇用という日本の企業文化のために現場で働かずに管理の仕事をする人が増えていくこと、それによって現場で働いている人たちにとっては、むしろ働きにくくなることが多いことなどなど、そういうことを具体的に話してくれした。

横山さんは、しかしそういう長時間労働の「ブラック」とも言いたくなるような会社だったけれども、社員同士のつながりや達成感など、いいこともうれしかったこともあったと言います。そうしたことは、一人では達成できないことかもしれません。
直接、横山さんが話したわけではありませんが、20年間、会社で働く中で、横山さんの考えも豊かになってきたように思いました。
そして、40代で、結果的に横山さんは生き方を変えたわけです。
私も40代後半で、会社を辞め、生き方や仕事観を一変しましたが、それができたのは25年間の会社勤めのおかげだという気がしていますので、横山さんの話にはとても共感できました。

横山さんの話で印象的だったのは、決して、会社を「非難」しないことでした。ブラック的な要素の話もしましたが、よかったこと、学んだことも話してくれました。
さらにもしこれから仕事がなかったら、またその業界に戻れるという話もしてくれました。ある意味での生きる力をそこから得たようです。
非難や愚痴の多いいまの時代にいささか辟易している私としては、横山さんの主体性のある前向きな姿勢にうれしくなりました。

最後に、横山さんは参加者に「仕事の報酬は何だろうか?」と問いかけました。
横山さんは会社時代は仕事の報酬は金銭(給与)だと漠然と考えていたようですが、こういう問いかけをするということは、横山さん自身はその考えに疑問を持ち出しているのでしょう。
20年間の会社生活を振り返った時、横山さんはそれに気づいたのではないかと勝手に想像してしまいました。

参加者の答は、人とのつながり、顧客の喜び、自らの達成感、あるいは一人ではできないことを会社という仕組みで実現すること……、とそれぞれでしたが、金銭と答えた人はいませんでした。

私自身は、仕事は本来楽しいものだと考えています。
しかし、金銭依存の社会になり、お金を稼ぐことが仕事とされてからは、仕事は「言われたことに対応すること」になってしまってきたように思います。
仕事そのものは価値を生み出すものではなく、単なる作業になってしまい、仕事の喜びとは切り離されてしまいました。しかも最近では、ボランティア活動も有償でなければやらないと言う人さえ出始めました。

お金と仕事とを切り離せば、仕事や働くことの意味は大きく開けていきます。
それに、「与えられたことをこなすことが仕事ではない」と考えれば、どんな仕事にも、自らの思いを入れこむことができ、面白さや価値は見つけ出せるはずです。

横山さんはいま、新しい資格も取りながら、新しい仕事探しをしています。
会社にまた入るのか、仲間と起業するのか、故人で何か始めるのか、お聞きしていませんが、横山さんが5年後、10年後、どんな仕事に取り組んでいるか、とても関心があります。私も長生きしなければいけません。

横山さんのお話を聞いていて、仕事や働く意味を考えるサロンを引き続きやりたくなりましたが、同時に、1020代の若い世代だけではなく、3040代世代も大きく変わりだしていることを実感させてもらいました。
最近、コロナもあって、会社で働いている人たちが湯島のサロンに来ませんが、会社で働いている人の話を聞いてみたくなりました。

どなたか話に来てくれませんか。

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