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2022/10/10

■湯島サロン「知識ゼロで挑む無門関パート3〈奚仲造車〉」報告

「知識ゼロで挑む無門関」第3回目は、第8則の「奚仲造車(けいちゅうぞうしゃ)」でした。車作りの名人が車を作った、そのうち車を分解し始めた。その意味するところは? という「公案」です。
参加者が4人と少なかったおかげで、じっくりと話し合える、ちょっと贅沢な気分のサロンでした。

Mumonkan30

金子さんは最初に、禅とは何か、公案とは何か、を改めて解説してくれました。いかにも金子さんの思いを込めた解説だったので、とてもわかりやすかったです。あわせて、金子さんご自身が無門関を読み解く姿勢も紹介してくれました。

「公案」は、悟りにいたる手助けをするもので、考えることを考えさせてくれる。矛盾の中から知的な回答を導き出すよろこびをもたらしてくれる「知的言語ゲーム」と捉えると楽しい。だから、難解という罠に自分からおちないようにしないといけないと。
実は私は、このお題をいただいた時に、公案の「問い」さえつかめなかったのですが、金子さんのお話を聞いて、まさに「罠」に陥っていたことに気づきました。金子さんが案内に書いていた、「入門中の入門編」という意味が少し納得できたような気がします。

〈奚仲造車〉を金子さんがどう読み解いたかは、「ネタばれ」になりますので書きませんが、金子さんは読み解く前にまず、これまでの多くの人たちの読み解きを5つに整理してくれました。
実は、私がサロン前日の長い入浴中に行き着いた回答も、その中にあったのですが、金子さんは、この5つではない読み解きに至ったというのです。
そして参加者と話しながら、そこへと導き、最後にある3文字をホワイトボードに書きました。私の場合は、そこでそれこそ頭が解きほぐされた感じで、それまでのもやもやがすっきりしました。参加者のみなさんの指摘にも気づかされることが多かったです。

〈奚仲造車〉の読み解きは紹介できませんが、本題の前後のお話も興味深いものがありましたので、それを少し紹介します。

本題に入る前に金子さんは有名な国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」を見せてくれました。おそらく誰もが一度は見ているひょうたんとナマズがテーマの不思議な水墨画です。
その水墨画の上段には、京都五山を代表する31人の禅僧が寄せ書きしているのです。実はこの絵は、「ひょうたんでナマズを抑え捕ることができるか」という公案を示したもので、それへの答が漢詩で書かれているのだそうです。
つまりこれは公案問答大会の記録なのです。

それを知って、公案というものへの親近感が高まりました。公案の問いかけも、それへの答も、日々、いつでも身近にあるのだと気づいたのです。
自分の身の回りに、あるいは生活の毎日に、公案集は山のようにあるようで、それを知るだけでも人生が楽しくなるような気がします。

サロンの最後に、金子さんは図像学の話を少ししてくれました。実は、無門関とは別に、金子さんに「仏教図像学」のサロンをお願いしていたのです。
金子さんは、スターバックスのロゴマークを示してくれたのですが、サロン冒頭の瓢鮎図の話とつながって、私にはそこにも「公案」を感じてしまいました。
3回にわたり、金子さんから無門関のお話をお聴きしましたが、私の場合は3回目にしてようやく無門関の面白さに少し気づいた気がします。

また機会があれば、金子さんの無門関サロンはお願いしたいですが、今度は仏教図像学のサロンをお願いすることになりました。また日程など決まりましたらご案内しますが、公案的要素を含んだ金子さんの図像学サロンにご期待ください。

なお、〈奚仲造車〉を読み解いて金子さんが到達した「3文字」ですが、もしそこにたどり着いた人がいたら個人的にご連絡ください。個人的に○×でお答えいたします。そこからこの公案が読み解けていくかもしれません。それは、いまの時代においてもとても大切なことのような気がします。

 

 

 

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