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2022/11/15

■湯島サロン「在宅ワークとワーケーション」報告

「働く」を考えるサロンの2回目は、「在宅ワーク」をテーマに、在宅ワークの仲介会社で働いている山本紀与さんに問題提起していただきました。

山本さんは最初に、「在宅ワーク」とコロナ禍以来話題の「リモートワーク」とは違うと説明してくれました。今回話題にする「在宅ワーク」は、従来の雇用労働の枠組みではこぼれ落ちがちな、働く意欲や働く能力を活かすための、新たな働き方の選択肢の一つとして、そこに積極的な価値があるというのです。
それは、タイトルにもある「ワーケーション」という言葉が示唆しているような、「働く時間と遊んだり学んだりする時間を自分で管理できる働き方」の提案でもあるのです。

そうした働き方は、単に働き手にとってだけではなく、人材不足に悩んでいる企業にとっても、有益な雇用の選択肢の一つになり、経済全体、社会全体にもウィンウィンの関係を生み出していく。「在宅ワーク」が、働き手にとっても事業主体にとっても、新たな選択肢を持ち込むことによって、世界を広げてくれるというわけです。

山本さんがいま所属している会社(株式会社キャリア・マム)は、20年以上前に、結婚や出産によって社会で活躍することをあきらめがちな女性たちに、働く場を創り出していくという思いで設立されたそうですが、以来、さまざまな働き方を支援することによって、今では11万人ほどの会員によって、多様な働き方が生み出されているようです。
https://corp.c-mam.co.jp/company/

そこでの仕組みをいろいろと説明してくださった後、山本さんは、参加者に「在宅ワークの問題点などあれば聞かせてほしい」と問いかけました。山本さん自身、従来型の企業勤務の経験もあり、「在宅ワーク」の限界や問題点も感じているのでしょう。

実際に、キャリア・マムでは、そうした在宅ワークの限界を克服するためのさまざまな仕組み(たとえば人のつながりを生み出す会員交流会や創発的な開発業務など)にも取り組んでいるようです。

しかも興味深かったのは、そうした仕組みが、会員の声によって生み出されてきているようなのです。同時に、単に個々人が「在宅ワーク」で仕事をするだけでなく、そうした個人ワークの成果品質を高めていくための仕組みができていることです。個人の「在宅ワーク」が基本ですが、それを活かすしっかりした「組織化」も行われているのです。もちろん個人を尊重した組織化ですが。

参加者からの指摘もいろいろと示唆に富むものでしたが、私自身は、議論の多くが、これまでの「雇用労働」「賃金労働」「競争労働」の文化に呪縛されすぎているように感じました。逆に言えば、「在宅ワーク」を基軸にして捉え直すと、これまでとは違った風景(組織論や経営論)が見えてくるような気がしました。そこに私は「目から鱗」を感じました。

キャリア・カムでは、『「自分らしく働く」は「自分自身を生きること」。多様な働き方を創り出し、働く楽しさを広げます』ということを目指していますが、働き手が主導権を取り戻すことこそが、「働き方改革」の要であると考えている私にはとても共感できるスローガンです。

「在宅ワーク」が、個人の働き方にとっても、また企業経営のあり方にとっても、新しい選択肢を増やすことになる。そして同時にそれは、個々人の生き方の変化にもつながり、社会を変えていく。そんな展望を感じました。

以下は、私の感想です。

私は近代産業革命以来の経済や社会のあり方に違和感を持ち続けてきています。
その基本にあるのは金銭労働であり、人間にとって楽しいはずの「働くこと」が、金銭を得るための退屈な「作業労働」に貶められてしまっているからです。
生活の場と働く場が切り離され、工場(あるいは事務所)に9時から5時まで集められて、生活から切り離された「仕事」をするのが、そこでの働き方の基本モデルです。

近年盛んに言われた日本での「働き方改革」も、その発想の枠の中での取り組みでしかありません。
そこでは、「働くこと」が生きるための目的になっていて、苦肉の策として、ワークライフバランスというおかしな言葉が出てきましたが、所詮は、働くために生きる「生き方」が基本になっていました。

ところが、「在宅ワーク」の発想には、この近代労働モデルを変えていく力があることに気づきました。
定められた勤務時間に一か所に集められて、生活を忘れて働くのではなく、自分の生活の拠点をホームベースにして、働く時間も生活を基軸に自分で割り振りできる働き方が可能になってきたということです。働くために生きるのではなく、生きるために働くことの意味を改めて考え直すことが大切かもしれません。

私は、「シャドウワーク」とか「アンペイドワーク」という言葉にも違和感を持っています。そうした発想は、金銭経済を基本に考えているからです。
最近、湯島のサロンでも「お茶くみ仕事」が話題になりましたが、「お茶くみ仕事」に価値を置くのか、金銭を生み出す仕事に価値を置くのかに、仕事観の本質が象徴されているように思います。そしてそれは、その人の生き方に現れてきています。「働き方」と「生き方」は切り離せないのです。

働き方の基軸を変えたら、生き方や社会のあり方の変化につながっていくように思います。同時にそれは金銭経済の縛りからの自由にもつながっていく。改めてそういうことを実感させてもらったサロンでした。
このテーマのサロンはさらに続けていきたいと思っています。

なお、キャリ・マムでは、「在宅ワーカー」に関連したzoomオンライン・セミナー(参加無料)も行っています。
期近なものとして、次の2つのご案内をいただきました。
ご関心があればぜひご参加ください。

12月2日「在宅ワーカー活用セミナー」
https://zaitaku-cmam.jp/enterprise/utilization/day_20221202/

12月13日「働き方改革セミナー」
https://www.saitama-hkaikaku.jp/workstyle/1213/

Zaitauwork000

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