■湯島サロン「2022年を振り返るサロン」報告
サロンから浮かび上がった2022年のキーワードは「暴力」「占い」「マンガ」。
年末の「今年を振り返るサロン」は今年も参加者が10人を越えるにぎやかさでした。
いつものように、フリーランス・グラフィックデザイナーの林裕也さんが、自分のフィルターを通して1年間の出来事をレビューしてくれました。
今年は林さん自身、2人目のお子さんが昨年生まれたこともあって育児に忙しく、また今年からマンガ家活動にも取り組みだしたこともあって、いつものようにしっかりと準備する時間がなかったそうです。そのせいか、林家の話があまり出なかったのが残念です。もっとも林さん自身の関心事は、選ばれたトピックで伝わってきましたが。
しかし年間を通して、さまざまなトピックを思いださせてくれましたし、なかには参加者全員が知らなかったこともありました。
昨年は、私の記憶と林さんの話はかなり重なっていた気がしますが、今年はかなり違う感じがしました。記憶に残る事象は、人によってやはり違うのです。同じ1年でも、みんなそれぞれに違う世界を生きていることがわかります。同時に、しかし、どこかでつながっていることにも気づかされます。
そこが、このサロンの面白さかもしれません。
気になったのは、林さんが、日本もだんだん暴力で解決しようという動きが広がっているような気がするとつぶやいたことです。
たしかにそう思います。
そしてその延長として、年の最後に防衛費倍増や原発依存回帰へという政府の方針転換が発表されたのも、そういう動きと無縁ではないような気がします。国民の反対の動きも実際にはあまり起きていません。社会そのものが変質してきているのかもしれません。そういうことは、日々の生活に追われている限り見えてきません。
もう一つ印象的だったのは、なぜか「占い」に関わっている参加者が多かったことです。
これも単なる偶然とは思えません。時代の大きな流れにつながっているような気がします。
最後は、林さんが今年出合ったアニメの紹介がありましたが、まあ例年と同じく、限られた時間では到底話し終わらないほどの話題の多さで、話し合いも途中から、個別の話し合いがそれぞれに始まるほどの賑わいでした。
アニメの紹介のところは、私は全くついていけませんでしたが。
ただ、ネットとつながったマンガというメディアが、新たなコミュニケーション手段として大きな役割を果たしだしていることを感じました。
興味深かったのは、その最近のマンガが、社会の暴力化につながっているではないかという指摘に対する参加者の反応がわかれたことです。
もっともみんなに回覧された林さんの作品は、暴力とは縁のない、いかにも林さんらしいほのぼのマンガでした。
今回、初めて湯島のサロンに参加してくださった人もいましたが、あまりのゆるやかさとお互いの自己主張が許容される場に馴染んでくださって、そこに魅力を感じてくださったようで、もしかしたら常連になりそうです。
最近は、忙しさの中で、なかなか生活や事件を振り返る機会がありませんが、振り返ることの大切さに気付かせてもらうのもこのサロンの意味です。
過去を振り返ることは自らの生き方を考えることでもあり、これからの生き方を考える契機にもなります。いつも、このサロンで林さんの話を聞きながら、何かとても大事なことを見過ごしながら生きている自分に気づくのですが、なかなか生き方は変わりません。
林さんは来年もこの振り返りサロンをやってくれるそうです。
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